
オレゴン州ポートランドで恒例の「世界・裸の自転車ライド」が今年も開催された。昨年は中止となったが、今年は例年通り1万人以上が集結。“勇気ある範囲”で衣服を脱ぎ捨てたサイクリストたちが、街中を颯爽と駆け抜けた。
このイベントは2000年代初頭に自動車文化への抗議として始まり、石油依存からの脱却や自転車利用者の安全確保を訴える平和的なデモンストレーションであると同時に、街全体を巻き込む巨大フェスでもある。
世界20カ国80都市へ拡大
「世界裸の自転車ライド」は昨年で20周年を迎え、シドニーからロンドン、メキシコ・グアダラハラまで20カ国80都市に拡大。参加者は「可能な限り裸に」と呼びかけられているが、必ずしも全裸である必要はない。
水着やコスチュームで登場する人、体に「Burn Fat, Not Oil(油じゃなく脂肪を燃やせ)」などのスローガンをペイントする人など、スタイルは多種多様。最も一般的なのは「ヘルメットと靴下と靴だけ」というミニマルな装いだという。
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論争とユーモアあふれる恒例のイベントに
長年の参加者クリス・マックローさんは「ポートランドの場合、75%はパーティー目的、25%は抗議。でも両立している」と話す。体に「殺さないで」と描き、自動車事故の危険性を訴える人もいる一方で、音楽や歓声に包まれながら走り抜ける姿は、ほとんどカーニバルのようだ。
ただ、裸で街を走るイベントが議論を呼ぶのは当然のこと。2024年には米ウィスコンシン州で少女が母親と参加したことに議員が猛反発し、開催禁止を求める法案まで提出された。過去にはニュージーランドや米国で警察が「公然わいせつ罪」で参加者を摘発した例もある。
一方、イギリスでは「性的意図がなければ合法」とされ、主催者は「完全に認められた活動」と胸を張る。
SNS上でも「抗議なのかフェスなのか、どっちなんだ(笑)」「子どもに見せて大丈夫?」といった賛否入り交じる声があふれていた。それに対し、長年の参加者であるマックローさんは、「誰かを不快にさせるためじゃない。ただ楽しむため。見たくなければ家にいればいい」と最後に言い切っている。
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