
タイ・バンコクの警察署で、思わず笑ってしまうような「ユニークな逮捕劇」が繰り広げられた。被疑者は、なんと一匹の「かわいい猫」である。
問題の猫は、アメリカンショートヘアの迷い猫「ヌブ・タング」。タイ語で「お金を数える」を意味する名を持ち、ピンクのハーネスを着けた姿で市民に保護され警察署に届けられた。
警察官たちも最初はその愛らしい姿に目を細めたという。
しかし、猫は慣れない環境に強い警戒心を見せた。署内に入るなり、対応にあたった警察官数名に飛びかかり、引っかき、さらにはカミつくという予想外の“抵抗”を繰り広げたのだ。
マグショット撮影も。Facebook投稿で一躍話題に。
そこで署員が思いついたのが “捜査手続き”であった。人間の被疑者と同じように、マグショット(正面と横顔の写真)を撮影した。
Feline felon has paw printed and mugshots taken after scratching police officers https://t.co/bVrcryT6Ne
— Metro (@MetroUK) August 11, 2025
もちろん、これは本気の手続きではなく、警察官のユーモアである。だが、その模様を投稿したFacebookが一躍話題となった。
「この猫は警察官を襲った罪で逮捕された」
「明日拘留される見込み。誰か保釈金を払いに来てほしい」
まるで実際の犯罪者を扱うような調子で書かれた文章は、読んだ人々を爆笑させた。さらに「彼女は最高の人生を楽しんでいて、真の被害者は警察だ」といったジョークまで添えられていた。
“供述書”にも「押捺」
投稿の翌日、実際の飼い主が署に現れ、猫は無事に引き取られた。だが、警察官の遊び心は終わらなかった。何と猫の「供述書」を作成し、
「ただお腹が空いていただけで、誰も噛むつもりはなかった」
といった“セリフ”を記入。
さらに最後の署名欄に、猫自身の肉球スタンプを押すという手続きも行った。

動物保護への関心のきっかけに
この一連の投稿を海外メディアも報道したことから、単なる迷い猫の保護が国際的な話題に発展した。
ネットユーザーからは多くのコメントが寄せられた。
「罪状は“かわいすぎること”だろう」
「今すぐ迎えに行きたい」
「保釈金を集めよう!」
といった冗談交じりの声から、「もし本当に猫が好きなら、迷い猫や保護猫を引き取るべき」という署員のコメントに共感する意見まで、反応はさまざまであった。

今回の投稿者であるパリンダ警察官は、これまでも迷い犬や保護猫の情報を SNS に発信し、飼い主探しや里親募集を積極的に行ってきた実績を持つ。

今回の「猫の逮捕劇」も、そうした活動の延長線上にある発信だった。
「かわいい逮捕劇」は単なる冗談にとどまらず、動物保護への関心を喚起する効果を生んだはずだ。