「かわいすぎる…」猫が逮捕されマグショット撮影、ネットで「保釈金払いたい!」の声

  • 文:宮田華子
Share:

TOP.jpg
@DaDaNaKab - Facebookアカウントのキャプチャ画像

タイ・バンコクの警察署で、思わず笑ってしまうような「ユニークな逮捕劇」が繰り広げられた。被疑者は、なんと一匹の「かわいい猫」である。

問題の猫は、アメリカンショートヘアの迷い猫「ヌブ・タング」。タイ語で「お金を数える」を意味する名を持ち、ピンクのハーネスを着けた姿で市民に保護され警察署に届けられた。

警察官たちも最初はその愛らしい姿に目を細めたという。

しかし、猫は慣れない環境に強い警戒心を見せた。署内に入るなり、対応にあたった警察官数名に飛びかかり、引っかき、さらにはカミつくという予想外の“抵抗”を繰り広げたのだ。

マグショット撮影も。Facebook投稿で一躍話題に。

そこで署員が思いついたのが “捜査手続き”であった。人間の被疑者と同じように、マグショット(正面と横顔の写真)を撮影した。

世界中に配信された「マグショット」。@MetroUK - X

もちろん、これは本気の手続きではなく、警察官のユーモアである。だが、その模様を投稿したFacebookが一躍話題となった。

「この猫は警察官を襲った罪で逮捕された」

「明日拘留される見込み。誰か保釈金を払いに来てほしい」 

まるで実際の犯罪者を扱うような調子で書かれた文章は、読んだ人々を爆笑させた。さらに「彼女は最高の人生を楽しんでいて、真の被害者は警察だ」といったジョークまで添えられていた。

“供述書”にも「押捺」 

投稿の翌日、実際の飼い主が署に現れ、猫は無事に引き取られた。だが、警察官の遊び心は終わらなかった。何と猫の「供述書」を作成し、

「ただお腹が空いていただけで、誰も噛むつもりはなかった」

といった“セリフ”を記入。

さらに最後の署名欄に、猫自身の肉球スタンプを押すという手続きも行った。

押捺.jpg
前足、後ろ足、計4つの肉球を押捺した猫。@DaDaNaKab - Facebookアカウントのキャプチャ画像

動物保護への関心のきっかけに

この一連の投稿を海外メディアも報道したことから、単なる迷い猫の保護が国際的な話題に発展した。

ネットユーザーからは多くのコメントが寄せられた。

「罪状は“かわいすぎること”だろう」

「今すぐ迎えに行きたい」

「保釈金を集めよう!」

といった冗談交じりの声から、「もし本当に猫が好きなら、迷い猫や保護猫を引き取るべき」という署員のコメントに共感する意見まで、反応はさまざまであった。

おめかし.jpg
飼い主がもってきたレースのケープをつけたヌブ・タング。@DaDaNaKab - Facebookアカウントのキャプチャ画像

今回の投稿者であるパリンダ警察官は、これまでも迷い犬や保護猫の情報を SNS に発信し、飼い主探しや里親募集を積極的に行ってきた実績を持つ。

釈放.jpg
パリンダ警察官(中央)と飼い主。@DaDaNaKab - Facebookアカウントのキャプチャ画像

今回の「猫の逮捕劇」も、そうした活動の延長線上にある発信だった。

「かわいい逮捕劇」は単なる冗談にとどまらず、動物保護への関心を喚起する効果を生んだはずだ。