「飛行機にヘビ!」プロが一発で捕獲→解体の危機を回避した瞬間に称賛の声

  • 文:宮田華子
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オーストラリア・メルボルン空港で、乗客が搭乗中の航空機にヘビが侵入するという前代未聞のトラブルが発生した。ヴァージン・オーストラリア航空の国内線フライトは2時間の遅延を余儀なくされ、機体の解体も視野に入る騒ぎとなった。

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乗客搭乗中に“密航者”が発見される

7月1日、メルボルン発ブリスベン行きのヴァージン・オーストラリア航空VA337便で、乗客の搭乗が進む中、航空機の貨物室にて緑色のヘビが発見された。体長約60センチ、細身のヘビは貨物室のパネル裏に身を潜めており、その場に居合わせた関係者たちに衝撃を与えた。

通報を受けて現場に駆けつけたのは、プロのヘビ捕獲者マーク・ペリー氏。彼によれば、発見当初は貨物室が暗く、毒蛇の可能性も否定できなかったという。「ヘビを捕まえるまで、どんな種類か分からなかった。非常に危険な見た目だった」と語る。

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「一発で仕留めなければ機体解体」プロが語る緊張の瞬間

もしヘビがパネルの隙間を抜けて機体内部に逃げ込めば、整備士や乗員は全員機体から避難しなければならず、機体そのものの分解が必要となる。実際、ペリー氏は現場で「一発で仕留めないと、機体を分解してヘビを探すしかなくなる」とスタッフに警告したという。 

そして彼は、その「一発」を見事に成功させたのだ!

「一撃」で仕留めたペリー氏。@HKeye_– Xより

捕獲されたヘビは、体長60cmの「デンドレラフィス・プンクトゥラトゥス(通称グリーンツリースネークまたはツリースネーク)」という無毒種だったが、種の判別がつくまでは気が抜けない状況だったという。毒性の強いヘビの多くが生息するオーストラリアにおいて、このような対応は過剰ではなく当然のこととのこと。

今回捕獲されたヘビ「デンドレラフィス・プンクトゥラトゥス」はこんな見た目。@Garden_Guests– Xより

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意外な侵入経路とその後の処遇

一体このヘビはどこからやって来たのだろうか?ペリー氏は、前便のブリスベンからのフライト中に乗客の荷物に紛れ込んだのではないかと推測する。つまり、すでに2時間もの空の旅を経て、到着地メルボルンで這い出してきた“密航者”というわけだ。

この「想定外の侵入者」によってフライトは遅延し、ペリー氏自身も空港まで30分の道のりとセキュリティチェックに時間を要した。対応には想定以上の時間と人手が割かれた。

この事件を報道したニュース映像。

なお、捕獲されたグリーンツリースネークは保護対象種であるため、検疫上の理由から野生に戻すことはできない。現在はメルボルンの獣医のもとで保護され、認可を受けたヘビ飼育者に引き取られる予定だという。

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空の安全と自然との共存

ネット上では「信じられない」「オーストラリアらしい話」といった声が多数上がった。自然と密接に共存するオーストラリアならではのハプニングとはいえ、密閉空間である航空機においては、たった一匹のヘビが機材の安全運用や乗客の命を左右するリスクにもなり得る。

今回の迅速な対応は、訓練された専門家の判断と技術によって、最悪の事態を未然に防いだ好例といえるだろう。