注目の新型車「テメラリオ」、ランボルギーニデザインのDNAを引き継ぎながらも、中身は驚くほど斬新

  • 文:小川フミオ
  • 写真:Automobili Lamborghini
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ランボルギーニの新型車が「テメラリオ」。強力なV8ハイブリッドシステムを搭載するテメラリオに、2025年7月、リスボン郊外のサーキットで乗った。もう、びっくりの性能だ。 

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モーターとターボをうまく組み合わせ、1万回転までパワーが落ちない、すさまじい加速力。

テメラリオは、大きなヒットとなった「ウラカン」の後継車。トップモデル「レヴエルト」は12気筒なので、エンジンは4気筒少ないし、車体もちょっとコンパクト。 

ランボルギーニでヘッド・オブ・デザインを務めるミティア・ボルカート氏は「デザインで留意したのはコンパクトさの表現でした」と、かつてF1レースも行われていたエストリル・サーキットの会場で語った。 

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六角形のリアコンビネーションランプと、中央の高い位置に排気管が位置して迫力を感じさせる。

ランボルギーニをデザインするとき、どういうことを意識しているか。ボルカート氏に尋ねると「たとえば、世界中のスポーツカーが集まっているなかにあっても、すぐ、ランボルギーニだとわかること」との答えだった。

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シャークノーズと呼ばれるボンネットはランボルギーニの伝統的なデザインモチーフで、それに六角形のデイタイムラニングライトの組合せが新しい。

シャークノーズと呼ばれる上面図(プランという)で見た時に、V字型でとんがってみえるノーズの先端部。

六角形のモチーフを各所に使い、リアクォーターウインドウや、車体側面のエアインテークも、六角形(を半分に切ったような)モチーフ。 

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六角形を半分に切った形状のリアクォーターウインドウなど六角形モチーフが随所に採用されている。

テメラリオはさらに、「シングルライン」とボルカート氏が呼ぶプロファイル(側面)において、一筆書きのようななめらかなシルエットも特徴的。

同時に、ルーフは前後にかけて中央部が削られたようだし、ボンネットは前から観てV字型のキャラクターラインが入れられている。

上記は、ボルカート氏が「少年時代に最大の衝撃だった」と語る「クンタッチ」(カウンタックは日本だけの表記)から、あえて持ち込んだモチーフだ。

「ランボルギーニ車を特徴づけるもの」とボルカート氏は説明する。

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ランボルギーニ車のデザインDNAたるシルエットを引き継ぎつつ新世代のスポーツカーの理想をカタチにしたという。

いまのランボルギーニ車に共通する要素として、六角形のモチーフを前後のランプやグリル類、さらに内装の各所に用いていることが挙げられる。これも、一目でランボルギーニとわかるデザイン上の特徴だ。

「テメラリオを開発するにあたって“イコナ”と名付けたスマートフォンのアプリを通して、オーナーやファンから意見を集めました。その結果、決定したのが、キャビン(室内)を広くして、ものを置けるスペースを拡大したことです」

エンジニアリングを統括するロウフェン・モア氏は、テメラリオにおいて、車体はコンパクトに抑えつつ、パッケージを見直すことが必須だったとする。 

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容量3.8kWhのパウチ型駆動用バッテリーが車体の中央あたりの床に搭載されている。

「このクルマはあらゆる用途に使えるように、というのが、私たちの目論見なんです」

通勤に使える一方、もちろん、スポーティなドライビングを堪能できる。

V8エンジンは新開発で、かつ、ハイブリッドシステムをフルに活かして、前輪は2基のモーターで駆動。

エンジンにもモーターが組み合わされる。これが、すごい走りを生んでいるのだ。 

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新開発のV8エンジンに3基のモーターを組み合わせ、パワーと操縦性の両立をはかっている。

「このクルマの見どころは(エンジン回転が)7000rpm以上になってからです。一般的なガソリンエンジン車は、パワーのピークがあって、そこを過ぎると急激に力を失っていきます。テメラリオではそうならないようにしています」

新設計のV8エンジンは、なめらかに、なんと1万回転まで回る。しかも大きなターボチャージャーが2基、Vバンクの間に収まっている。

パワーが落ちないのは、モーターとターボチャージャーの組合せによるもの、とモア氏は説明。

モーターで加速していく範囲を大きめにとり、9000rpmから上で思いっきりよくターボパワーが炸裂するように設定したそうだ。

そこで実際のドライブの報告なのだけれど、モア氏の言葉にウソはない。 

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ターボ圧を最大限にして強力な加速力を得るローンチコントロールも装備。

エストリル・サーキットの直線で、低めのギアに固定してアクセルペダルを踏み込んでいくと、回転計の針はぐんぐんと上を指し、1万rpmの目盛りのあたりで、エンジン過回転防止の燃料カットオフが働く。

操縦感覚は、しかし、熟練したドライバーだけが対象でないとされるだけあって、まったく無理がないという印象。

高めかなと思う速度を維持したまま、小さなカーブに突っ込んでも、あっけないほど自然な感覚で、曲がっていける。

ランボルギーニのエンジニアリングの高さを堪能できる出来映えだと、つくづく。 

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アレジェリータ Alleggeritaパッケージは軽量でかつ標準仕様より強力なダウンフォースがかかる。

よりスポーティなドライブを望む人のために、標準モデルより25kgほど軽量の「アレジェリータ」(軽量の、という意味のイタリア語)仕様も用意されている。

2台を乗り較べると、アレジェリータかなと思ったりもするけれど、快適な乗り心地を味わいながら、遠出がしたい、なんて人には標準モデルもいいだろう。 

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インテリアのデザインコンセプトは「Feel Like A Pilot」といい機能主義が徹底しているが同時にエモーショナル。

日本での発売は2025年9月からが予定されている。ランボルギーニでは販売が好調で、常に前年比を超えているそうだ。テメラリオも、そこに貢献しそうな出来映えである。

ランボルギーニというと、どうしても12気筒のレヴエルトに目がいくかもしれないけれど、最新のハイブリッドシステムを短いホイールベースのスポーティなシャシーに搭載したテメラリオには、機敏な走りという。このクルマにしかない魅力がある。 

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ルーフからリアエンドにかけてブラックアウトしたデザインスキームは精悍。

ランボルギーニ テメラリオ

全長×全幅×全高:4706×1996×1201mm
車重:1690kg
ホイールベース:2658mm
3995.2ccV型8気筒+電気モーター(プラグインハイブリッド)
駆動用バッテリー容量:3.8kWh
全輪駆動
システム最高出力:677kW@9000〜9750rpm
最大トルク:730Nm@4000〜7000rpm
8段デュアルクラッチ変速機
全輪駆動(前輪はモーター駆動)
最高速:343kph
0-100kph加速:2.7秒
乗車定員:2名
価格:未公表
問い合わせ:ランボルギーニ・ジャパン
www.lamborghini.com