アフリカに由来する文化を、音楽からアートまで横断して検証【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】

  • 文:印南敦史(作家/書評家)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『ブラック・カルチャー 大西洋を旅する声と音』

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中村隆之 著 岩波書店 ¥1,056

ブラック・カルチャーは、西欧人による大西洋奴隷貿易に端を発する、アフリカの人々の苦難の歴史に基づいている。それは、文化としてどう成長していったのか。本書で著者は、音楽に重点を置きながら解説する。具体的には前半でジャズ、ブルース、ソウル、ヒップホップなど多様な表現を生み出したブラック・ミュージックの歴史を振り返り、後半では文学やアートなどその他のトピックスを掘り下げていく。ブラック・カルチャーを広い視野に基づいて検証した、あるようでなかった一冊。深い洞察力が際立っている。

※この記事はPen 2025年8月号より再編集した記事です。