あの革で有名な土屋鞄が、なぜナイロンで20万円もするバッグを? 創業60周年で仕掛ける革職人の新たな挑戦

  • 文:倉持佑次
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株式会社土屋鞄製造所は、ランドセル工房を発祥とする革製品ブランド「TSUCHIYA KABAN」より、創業60周年を記念した特別モデル「Solid」を8月7日に発売する。これまで革製品で培ってきた美意識と職人技術を、あえて新たな素材であるナイロンに落とし込むという意欲的な挑戦となっている。

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TSUCHIYA KABAN60周年特別モデル「Solid」 。

今回発表された「Solid」は、バックパック、トートバッグ、クロスボディバッグの3型で展開。60周年にちなんで各60点の数量限定となり、価格はそれぞれバックパック198,000円、トートバッグ154,000円、クロスボディバッグ99,000円に設定されている。

なぜナイロンなのか。その答えは、同社が掲げる「温故創新」というテーマにある。古来より親しまれている革と比較的新しい素材のナイロン、そして日本の伝統的な要素や職人技を組み合わせることで、「古くて新しい魅力」を持つ製品を創り上げようとしているのだ。

特筆すべきは、メイン素材に採用されたイタリア・リモンタ社製の高密度ナイロン「デイビス」である。世界のラグジュアリーブランドからも高い評価を得ているこの素材は、しっとりと滑らかな手触りと上品な光沢感を実現。カジュアルになりがちなナイロンバッグに、洗練された佇まいをもたらしている。

さらに注目したいのが、革鞄並みの精度を要するフレーム構造の採用だ。これにより、柔らかいナイロンを凛と自立させる建築的なフォルムが生まれる。また、「直してまた使う」ことを前提としたリペア性への配慮も、長く愛用してもらいたいという同社の姿勢の表れといえるだろう。

細部へのこだわりも見逃せない。60周年記念の特別なプリントパーツに始まり、手作業による金属製ロゴの取り付け、「TSUCHIYA」のTをアレンジしたオリジナル引き手など、他では見られない個性的なディテールが随所に光る。各製品に刻印されたシリアルナンバーは、特別感をより一層高めるものだ。

販売は「TSUCHIYA KABAN」オンラインストアと全国の直営店舗で行われる予定。これに合わせて7月29日からは60周年記念イベントも順次開催され、愛用品Instagram投稿キャンペーンや記念ノベルティの配布なども実施される。

革職人が新境地に挑む「Solid」。60年の歴史と技術が込められたナイロンバッグは、同社の新たな表現力を示す象徴的な存在として注目を集めそうだ。

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60周年モデル 60Solid Backpack(H44×W30×D20㎝)¥198,000
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60周年モデル 60Solid Tote bag(H34×W45×D21㎝)¥154,000
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60周年モデル 60Solid Crossbody bag(W35×H16.5×D13㎝)¥99,000
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素材には、厳選されたナイロン糸を高密度に織り上げた「デイビス」を採用。環境に配慮した製法で作られた繊細な織り目が、カジュアル素材の常識を覆す質感を生み出す。

TSUCHIYA KABAN60周年特別モデル

https://tsuchiya-kaban.jp/blogs/product-feature/250723