もはや“芸術”の域。ベントレーのSUV「ベンテイガ EWB マリナー」がもたらす、極上の時間と空間

  • 文:Pen編集部
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ベントレーのラグジュアリーフラッグシップ「ベンテイガ EWB マリナー」。

ベントレーによるベンテイガシリーズ最上級のSUV。ロングホイールベースモデルの「BENTAYGA EWB MULLINER(ベンテイガ EWB マリナー)」を都内で試乗した。その空間に身を委ねた瞬間、予想は軽々と裏切られた。

まず驚かされたのは、やはり後席の広さ。ホイールベースは標準モデルから180mm延長されており、その余裕は後席に振られている。足を投げ出しても十分に余裕のあるレッグルームに、最大リクライニング角40度という深い傾き。さらに、背もたれを倒すと連動してフットレストがスッと上がってくる仕掛けもある。

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キャビン全体には、有害物質を含まない「オリーブタンレザー」を使用している。

座った瞬間に体を包み込むレザーシートは、見た目以上にやわらかく、手触りも上質。リラクゼーション機能まで備え、複数のモードや温感機能も付いている。ステアリングの具合もよい。試乗当日はあいにくの雨だったが、マッサージは想像以上に心地よく、都内の渋滞がむしろ待ち遠しくなるほどだ。

内装に目を移すと、細部に至るまでベントレーのクラフツマンシップが光る。インパネやセンターコンソールに施されたダイヤモンドカットの装飾、そしてスイッチやダイヤルの感触までもが、視覚・触覚の両面で上質さを訴える。エアコンの送風口についた小さなノブも美しく、手で操作するたびに満足感をもたらしてくれる。

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上:エアコンの送風口。小さなノブというにくい演出も。 下:エレガントさを象徴する「ダブルダイヤモンド」。

特筆すべきは、静粛性の高さだ。雨天の都内という状況にもかかわらず、タイヤの水はね音や周囲の雑音がほとんど聞こえない。風切り音もなく、オーディオの音もよく聞こえる。試乗では、首都高も走ったが、その静寂さは終始、保たれていた。

今回の試乗で選択したドライブモードは「ベントレーモード」。コンフォートとスポーツの中間に位置するこのモードは、ベントレーが最も推奨する“バランス型”。街中ではサスペンションがやわらかく、荒れた路面でも揺れを感じさせない。一方で加速が必要な場面では、アクセルの反応は鋭い。重量級のボディを意識させない軽快さがあった。

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「ダブルダイヤモンド」はフロントグリルにも採用されている。

スポーツモードに切り替えたところ、車高が自動で低くなり、サスペンションの張りが増す。運転席からは“構えている”感覚があり、直進の安定性とコーナー時の踏ん張りが高まる。思わず「静かなのに速いって不思議な感じ」との声が漏れたほどだ。

また印象的だったのは、車の挙動に対する応答性だ。ステアリング操作に対するレスポンスが適度に穏やかで、運転していても疲れない。ドライバーズカーとしても成立しており、「運転する喜び」と「乗せる歓び」が高水準で両立している。

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4.0リッターV8エンジンを搭載。最高出力550PSを誇る。

忘れてはならないのが、このモデルがマリナー仕様という点。マリナーとはビスポーク部門のことで、細部にまで個人の好みを反映できる。ボディカラーやインテリア・ステッチの色など細かく指定でき、その組み合わせは約4000通りもある。

ドアを閉めたときの音、スイッチの触感、そして走行時の音と振動。すべてが計算され、ラグジュアリーSUVでありながら、ドライバーズカーとしての資質も高い「ベンテイガ EWB マリナー」。

ただの移動手段でもなければ、「贅沢」という言葉で片付けることもできない。ベントレーらしさが凝縮されたこのクルマは、さながら“芸術”だ。

ベンテイガ EWB マリナー

全長×全幅×全高:5305×1998×1739(mm)※ミラー閉
ホイールベース:3175(mm)
排気量・気筒構成・駆動方式:3996 cc V8 気筒 フルタイム4WD
最高出力:550 PS/5750‑6000 rpm
最大トルク:770 Nm/2000‑4500 rpm
トランスミッション種別:8速AT
価格:¥38,984,000
問い合わせ:ベントレーモーターズ ジャパン
www.bentleymotors.jp