スバル「レヴォーグ レイバック」で夏の釧路を走った。ターゲットを、従来の都市型からアウトドア、スポーツまで、大きく拡大するというSUVの魅力を味わえたドライブだ。

レヴォーグをベースに開発されたレヴォーグ レイバックは、2023年10月に発売されたモデル。車高はレヴォーグより55mm持ち上げた200mmで、ステーションワゴンにSUV的なテイストを加味した、独自のデザインが特徴だ。
これまでスバルでは、レヴォーグ レイバックで上質さを前面に押し出してきた。対して、マルチパーパスなキャラクターは「フォレスター」で、スポーティな走りを求める層には「レヴォーグ」でと、マーケットを切り分けて考えてきたそうだ。

「これから、レヴォーグ レイバックのコミュニケーション戦略を再定義することにしました」とは、スバルの広報担当者の弁。上質な都会志向のクルマ、アウトドアで使えるクルマ、それにスポーティな走りが楽しめるクルマと、3つの要素すべてを持っている、とアピールしていくのだそう。
2025年7月に訪れた北海道東部の釧路は、ドライブするのにかなり気持ちよいところだ。釧路から霧多布までの道は、交通量も少なくないし、道の状態もそう悪くない。そこでのドライブで、改めてレヴォーグ レイバックの魅力を印象づけられた。

うっすらと霧が立ちこめており、私はノルマンディ海岸を連想した。そういえば、あちらに夏でもカキが食べられるコンカルがあるように、道東でカキといえば厚岸。眼でも胃袋でも楽しめるツーリングができる。
釧路空港から霧多布まで往復200kmのドライブでは、レヴォーグ レイバックが持っている多様なキャラクターを味わえた。

ひと言でよさをいうと、総じてナチュラルな感覚なのだ。4770mmの全長に対して、2670mmのホイールベースの組み合わせで、室内空間は前後席ともに余裕がある。しかも、オフホワイトとグレーの濃淡の組み合わせは、見た目の印象がよくて、気分を明るくしてくれる。


走りの印象も、同様。加速性能とかハンドリングとか、突出しているものはない。ただし、バランスがよい。
よく動いて、荒れた路面でも路面の凹凸をていねいに吸収してくれるサスペンションシステム、レスポンスはいいが、クイック過ぎないステアリングシステム、それに、エンジン回転とともにスムーズに立ち上がっていくトルクなど、全体の整合性がとれている。

もうひとつのセリングポイントが、カメラを使った安全と運転の支援システム「アイサイト」だ。これはスバル車におなじみの技術。
レイバックは、3つのアイサイトを搭載している。プリクラッシュブレーキやアダプティブクルーズコントロールなど豊富な運転支援技術からなる「アイサイト」、運転支援や視覚拡張の装備が盛り込まれた「アイサイトセイフティプラス」、そして「アクティブレーンチェンジアシスト」など、高度運転支援技術で構成される「アイサイトX」である。
24年12月には改良が施されている。「ドライバーモニタリングシステム」と「ドライバー異常時対応システム」の連携を強化して、ステアリングホイールが長時間操作されていないとか、また、ドライバーがわき見運転をしていると車両が判断した場合、「ドライバー異常時対応システム」が作動するようになっている。

アイサイトも機能が強化。「車両中央維持制御」と「先行車追従操舵制御」が改良され、直線路の車線中央付近を走行中は介入操舵がしやすいように軽めの操舵感。一方、急なカーブや白線付近の走行時は(安全性を考慮して)重めの操舵感になる。
ステアリングホイールのスポーク部には「S/Iドライブ」が設けられている。ボタン操作で、2通りのドライブフィールが味わえるシステムだ。「I」ではややゆったりとした加速で、操舵感は軽い。「S」はアクセルペダルを軽く踏み込んだだけで、するどい加速性が得られる。

運転支援システムは、北海道の交通量の少ない高速道路などでありがたい。先行車追従型クルーズコントロールと車線維持システムは、安心感を与えてくれる。
ハーマン・カードンの10スピーカーシステムは、フロントに6つ、リアに4つのスピーカーを備える。ツーリング中は音楽を聴くのも楽しみのひとつになった。バランスとしては高音よりと感じられたが、ノーマルポジションだと低音をあえて強調しない音づくりは、好感が持てるものだった。私は、マリア・ルイザ・ジョビン(1987年生まれのアントニオ・カルロス・ジョビンの末娘)やギャビー・モレノの歌声を楽しんだ。ゆったりした気分のボーカル主体の曲がよく合った。

レイバックLimited EXの価格は399万3000万円。昨今ではかなり良心的というか、お買い得というか、ユーザーフレンドリーな価格だと思う。
スバル レヴォーグ レイバック
全長×全幅×全高:4770×1820×1570mm
ホイールベース:2670mm
車重:1600kg
エンジン:1795ccm水平対向4気筒 全輪駆動
変速機:無段変速(マニュアルモード付き)
最高出力:130kW
最大トルク:300Nm
乗車定員:5名
燃費:13.6km@L(wlTC)
価格:¥3,993,000
問い合わせ:スバル
www.subaru.jp