野生のシャチ同士が密着する動画に話題騒然…専門家も驚いた“謎の行動”とは?

  • 文:吉井いつき
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Shutterstock ※画像はイメージです

野生のシャチがディープキスをしている光景が目撃され、話題となっている。2頭のシャチは軽く口を接触させるだけでなく、お互いの舌を優しく噛み合っていたのだ。2分ほど続いた情熱的なキスの様子は動画に撮影され、今年6月には学術誌Oceansに論文が掲載された。

観光客が撮影した極めて貴重な映像


情熱的なシャチのカップルが目撃されたのは、ノルウェー北部のクヴェーナンゲン・フィヨルドだ。

2024年1月11日の午前10時40分頃、シャチの観察会に参加していた観光客らが海上でシュノーケリングしていたところ、10〜15メートル下の海中をゆっくりと泳ぐシャチ2頭を見つけた。驚くべきことに、シャチたちは優しく口で触れあったり、お互いの舌を優しく噛み合ったりしていた。キスは合計1分49秒間続き、その後2頭は別々に泳ぎ去ったという。野生のシャチでこのような行動が確認されたのは初めてのことだった。

海中キスの様子はシュノーケリング参加者のカメラ(GoPro Hero 11 Black)で撮影されており、インターネット上に公開されている。SNSでは「これは愛だ」「ソウルメイトのカップル!」「私たちみたい」などと、シャチたちの行動に人間のそれを重ね、多くの人々が感銘を受けていた。

なぜシャチはキスをするのか?


今回目撃された舌を優しく噛む行動(tongue-nibblingと呼ばれる)は、2013年に水族館のシャチの間で報告されている。同じく飼育下のシロイルカでも似たような行動が報告されているが、主にメスや若い個体が行っているのだという。人間がそうであるように、シャチやイルカのキスも親近感を表現し、絆を深めるための遊びやスキンシップの一環と考えられる。


ただ、その真の意味を知るにはまだまだ研究が足りない状態だともいう。そもそも海中に暮らすシャチの行動は観察が難しい上、今回のキスも一部のシャチの「流行」に過ぎない可能性がある。高い知能と社会性を持つシャチは奇妙な行動を見せることがあり、つい最近も死んだサケを帽子のように頭に乗せて泳ぐ姿が約40年ぶりに目撃され、「シャチにもリバイバルブーム?」と人々を困惑させたばかりだ。


さらに、ある専門家はキスがシャチの「ストレス反応」である可能性も示唆している。野生のクジラやシャチなどを見学するツアーは世界的に流行しており、今回の動画もシャチと一緒に泳ぐことを目的としたツアーで撮影されている。観光客の存在が野生動物たちに大きなストレスを与えている可能性は高く、キスをしていたシャチたちも自分たちを観察する人間の存在にストレスを感じ、心を落ち着かせようとしていたのかもしれない。


野生動物の行動を人間が理解するのは、実に難しいことのようだ。

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【動画】海中でキスする2頭のシャチ

@nypost

She blows….kisses. 💋 Orcas have been observed making out in the wild for the first time — and with some epic tongue action to boot, as seen in an amorous video making waves online.

♬ original sound - New York Post | News

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