【Penが選んだ、今月の音楽】
『ブラームス:ドイツ・レクイエム』

日本では交響曲や室内楽の作曲家というイメージが先行しがちなブラームスだが、実際は数多くの歌や合唱曲を残している。後者の代表作「ドイツ・レクイエム」も交響曲的に演奏されてきたのだと、この演奏を聴いて気付かされた。指揮したのはバッハの世界的権威として国際的に名声を得ている鈴木雅明。彼の手にかかると、オルガンを拡張するような発想でオーケストラを用いていることがよくわかる。ブラームスのロマンティシズムが苦手な人ほど、透明感あふれる清廉なサウンドに驚かされるはずだ。
※この記事はPen 2025年8月号より再編集した記事です。