
2025年6月14日の夜、アメリカ・カリフォルニア州モンロビアの一軒家に、大きなアメリカクロクマが侵入した。
クマは室内を悠々と歩き回り、冷蔵庫等を物色。隣の部屋で寝ていた住人に危害が及ぶところだった。その一歩手前で、「命知らずの行動」に出た存在があった。それはこの家で飼われている老犬だった。
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巨体に吠え立てた老犬は17歳
犬の名前はドゥードル。17歳になるラブラドゥードルで、飼い主ゾーイ・キャドマンさんと共に暮らしている。監視カメラの映像には、リビングルームに入ろうとするクマをドゥードルが待ち構え、その巨体に立ち向かう姿がはっきりと映っていた。
クマはドゥードルの鼻先まで詰め寄った。しかしドゥードルは体格差をものともせず、吠えてクマを威嚇した。

ゾーイさんは後日、この日のことをFacebookに記している。「夜中に目が覚めたら、クマが冷蔵庫を漁っているのよ。ベッドからたった3メートルのところで!」「ドゥードルが私を救ってくれたの」
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クマは“常連客”だった?
今回侵入したクマは、輪型の追跡装置を着けていた。つまり過去に捕まったことがあり、追跡の対象になっていたクマだった。

近所に暮らす別の住民の証言によれば、クマは以前からこの一帯に頻繁に現れていたという。同じ日に近隣の住宅でも冷凍庫を荒らし、ピザやベーコン、アイスクリームを食べ、さらにプールで泳ぐという大胆な行動を見せていた。

目撃者は「クマが通りに落ちたアボカドを食べに来ることはありますが、人の家にまで入るのは珍しいです」「でも今回は子連れでした。母熊と子熊が10分ほど庭にいたらしいです」とコメントした。
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人間と野生動物の境界線
カリフォルニア州魚類野生生物局(CDFW)によれば、野生のアメリカクロクマは人間や人間の食べ物に慣れるとどんどん大胆になり、住宅地にも平気で入り込むようになるとのこと。こうした現象は、山火事などの影響で生息域が狭まり、人の生活圏と野生動物の距離が近づいているという現実が背景にあると考えられている。

住人にとっては危険と隣り合わせの状況だが、しかしこの地域に暮らすある男性はこんな風に語っている。
「ここに住んでいると、そういうこともあるんだよ。山のすぐそばだし、彼ら(クマ)の方が先にここにいたんだから」
ゾーイさん宅へのクマの侵入事件は、17歳の老犬の本能的な行動が功を奏し、大きな被害を受けることはなかった。お手柄犬・ドゥードルは傷一つ負わず、今も元気にしているという。