チンパンジーに襲われ顔半分を失った女性が、16年後の近況を報告

  • 文:さかいもゆる
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Shutterstock ※画像はイメージです

アメリカ人女性のチャーラ・ナッシュは、2009年に友人サンドラが飼っていたペットのチンパンジー、トラヴィスに襲われ、右半分の顔を剥ぎ取らるという事故に遭った。トラヴィスが車の鍵を持って逃げようとしていたところを飼い主が落ち着かせようとしていたが、そこに助けに来たチャーラを、チンパンジーが襲ったのだ。トラヴィスの注意を惹きつけるためにエルモのぬいぐるみを持って駆けつけたチャーラの鼻とくちびる、瞼と手が体重200ポンドのチンパンジーによって攻撃された。当時捜査官は、トラヴィスが顔見知りの彼女の新しい髪型のために、侵入者と間違えたかもしれないと示唆した。

トラヴィスは人気アパレルブランド「オールドネイビー」のCMに出演したこともあり、飼い主に甘やかされロブスターを食べ、ワイングラスでワインを飲むような贅沢な生活を送ってたという。

そんな恐ろしいチンパンジーの攻撃から16年経った現在、71歳になったチャーラがオーストラリアのTV番組『60ミニッツ・オーストラリア』のインタビューで、その後の人生について語った。彼女は事件後、2011年に画期的な顔面移植手術を受けている。これは戦争で負傷した退役軍人を治療する方法を研究するため、米軍が資金提供したもの。

顔の移植手術は成功したが、手の移植は拒絶反応のため成功しなかった。ほかにも彼女は、チンパンジーによって伝染した病気による視力の喪失や継続的なリハビリなど、様々な課題を乗り越えなければならなかったという。

「私が最も覚えているのはチンパンジーの叫び声です」とナッシュ。「攻撃は数分間でしたが、衝撃は壊滅的でした。トラヴィスは私の手、目、まぶた、鼻をはぎ取り、私を食べ始めたのです」と恐ろしい告白をした。

飼い主のヘラルドが911に通報し、駆けつけた警察は、血まみれになっているチンパンジーを撃ち殺した。「自分がまだ生きていることに驚きました」とナッシュはコメントしている。その後何年も、剥ぎ取られた顔の傷を隠すためにベールを覆って生活していたが、上述の顔面移植手術によって、「人生を取り戻した」という。「それは素晴らしいことであり、より良い生活を送る機会を得たことへの感謝は言葉では言い表せない」

彼女は現在、生活支援施設に住んでおり、言語療法やその他のリハビリを受けている。事故の後遺症で彼女はストローから飲み物を摂取するだけの食生活を余儀なくされていたが、最近では固形物を食べることができるようになり、ピザとステーキを食べられるようになることを楽しみにしていると言う。

最初の手の移植は失敗したけれど、また別の手術を受ける予定だと言い、「人生は良くなっています。それはゆっくりとですが、良くなっています」と語った。

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チンパンジーに襲われ顔半分を失った女性。