フェラーリがニューモデル「アマルフィ」を2025年7月1日に発表した。エレガントなスタイルで人気が高い「ローマ」の後継車だ。

「シンプルな美」というのがデザインのテーマ。イタリア・マラネロのフェラーリ本社で行われたお披露目の場に、デザイン部門を率いるフラビオ・マンツォーニ氏が登壇。美について、イタリアの哲学の数々を引き合いに出して説明した。
「私たちがこのクルマをデザインしたとき、心に抱いていたのは(「空中の鳥」などで知られる彫刻家)コンスタンティン・ブランクーシによる『シンプルさは複雑さの行き着く先(Simplicity is complexity resolved.)』という言葉でした」

彼によると、デザインチームは、4つの車輪の上の車体からデザインを始めることはない、という。
「私たちは(のちに車体になる)彫刻的なフォルムをつくることから、デザインを始めます。それをスピードフォームやメタフォームと呼んでいます」

そう言って見せてくれたのが、スピードフォーム。アマルフィの車体になるオリジナルの美が凝縮されていた。
「全体はシンプルで、ボディに入れるラインはごくわずか。前のボリュームと後ろのボリュームが途中で噛み合っている造型ですが、あまり強調していません」
フェラーリに詳しい人は先刻お気づきのように、今回のアマルフィは2019年に発表されたローマの後継だ。

ローマは“ラ・ヌオーバ・ドルチェビータ(あたらしい甘い生活)”という、フェデリコ・フェリーニ監督の「ラ・ドルチェビータ」(1960年)をキーコンセプトにしていた。
「アマルフィも(ナポリから山を越えたところにある)南イタリアの名高いリゾートからとった車名で、エレガントなスタイルは、ラ・ヌオーバ・ドルチェビータのコンセプトに合致しています」

本社内チェントロスティーレ(スタイリングセンター)での発表の場では、フェラーリの新型車が出るたびにスポークスパースンの役を務める、販売とマーケティング統括のエンリコ・ガリエラ氏が語った。
「私たちは、ローマで打ち立てたコンセプトに忠実にデザインしました。エレガントで、控えめに見えるエクステリアと、スポーティなインテリアの組合せです」


隣に立ったマンツォーニ氏は「エクステリアとインテリアの組合せは合わないと思われるかもしれませんが、エンリコが言うとおり、ドライブしていると、本当のスポーツカーに乗っている気分になれるはずです」と説明を加える。

アマルフィのエンジンは3855ccV型8気筒で、ローマのエンジンにさらに手を加えている。「よりスムーズに7500rpmまで回るようになっています」と、エンジニアリングのトップのジャンマリア・フルジェンツィ氏は語る。
「ひとりでドライビングに集中したい人には、SF90ストラダーレが向いているでしょう。アマルフィは、2プラスというパッケージコンセプトで、前席背後に大きめの荷物も置けるし、どこへでも乗っていけるクルマなのです」

ガリエラ氏は、フェラーリのラインナップにおいて、個々のモデルに固有のマーケットがあると解説。もっともスポーティなのはSF90ストラダーレで、その下に296GTシリーズ、そしてプロサングエがスポーティより快適のほうに位置し、もっとも快適志向のモデルがアマルフィとなる。
「アマルフィに力を入れているのは、フェラーリに興味を持ってくれた人にとって、入り口となるクルマだからです」

サーキットから海辺へのピクニックまで多様な用途に応えられるクルマがアマルフィなのだ。静止から時速100kmまでの加速は3.3秒と十分な性能をもちつつ、快適な気分でも乗っていられる。
「これまでもポルトフィーノやローマ(どちらもモデル名)で初めてフェラーリに乗って、そこからよりスポーティなモデルへ興味の対象を移していくオーナーが少なからずいました」

アマルフィにスポーツカーとしてのポテンシャルがどれだけあるか。従来のポルトフィーノやローマの経験からいうと、おそらくかなり高いだろう。そうでなければ、さらに高性能を求めるオーナーは少ないはず。重要な使命を帯びたモデルと言える。
フェラーリ アマルフィ
全長×全幅×全高:4660×1974×1301mm
ホイールベース:2670mm
車重:1470kg
3855cc V型8気筒 後輪駆動
最高出力:470kW@7500rpm
最大トルク:760Nm@3000〜5750rpm
8段デュアルクラッチ変速機
前後重量配分:50対50
乗車定員:2名
価格: 未定
問い合わせ:フェラーリジャパン
www.ferrari.com/ja-JP