観・食・住が叶う新たなミニシアター。日常の延長線上で映画に触れる、「オット」が大宮に誕生

  • 写真:河内彩
  • 文:Pen編集部
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オット

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親子観賞室やふたり掛け席など、さまざまなかたちで映画を楽しめるように工夫している。

ミニシアターの閉館が相次ぐ中、埼玉・大宮にオープンした「オット」は、あえて“映画館をつくる”という選択をした稀有な場所だ。都心から電車で約35分という意外なアクセスの良さを持ちながら、到着するとそこには従来の映画館とは異なる新しい空気が広がっている。

オットは、全53席の上映室に加えて、映画関連の書籍が充実したカフェと25室のシェアハウスを併設する複合施設。日常の延長線上で映画に触れる、そんなコンセプトが体現された居心地のいい空間だ。座席は、スクリーン数を縮小し再生をする過程で廃棄予定であったものを譲り受け、日本のミニシアター文化のバトンを静かに受け継ぐ姿勢が感じられる。さらに、“スクリーン専用塗料”によって壁に直接塗布された、世界初となるプロペイントスクリーンの常設も映画好きにとっては嬉しいポイントのひとつ。音響は、109シネマズプレミアム新宿も手掛けたイースタンサウンドファクトリーによるオリジナルのカスタム設計で、圧倒的な没入感を体験できる。さらに、小さな子どもと一緒に鑑賞できる親子観賞室や、ピアノの生演奏付きサイレント上映会、舞台挨拶やトークイベントなど、多彩なプログラムも魅力だ。

併設のカフェでは、昼はコーヒーやクリームソーダ、夜はビールやワインなどのアルコール類が楽しめられる。特にお薦めしたいのが、ハーフからまるごと1枚まで注文できる焼きたてのナポリピッツァ。また、上映作品にちなんだスペシャルメニューが登場するのも楽しい仕掛けだ。

映画が“観るもの”から“暮らしの一部”になる場所。ミニシアター文化がこれからも生き続けるための、小さくて大きなこの拠点にぜひ訪れてみてほしい。

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カフェでは、ガラス張りの窓から美しい自然光が差し込む。
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焼きたてのピザ(ホール¥1,100~)とクリームソーダ(¥600)が看板メニュー。時期によっては、上映作品とリンクしたスペシャルメニューも用意。

OttO

住所:埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-345
営業時間:9時~21時(月、火、木~日) 12時~18時(水)
定休日:無休
※休映日は週2回、詳細はHPより
https://otto-extended.com