力強くも静かな走りがもたらす時間、ヒョンデの特別仕様EV「コナ マウナロア」で新島へ

  • 写真・文:Pen編集部
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東京都・新島。調布飛行場から40分ほどと好アクセスながら、その地形や文化はまるで別世界だ。今回はこの離島の道を、ヒョンデのコンパクトSUV電気自動車・KONA(コナ)の特別仕様車「KONA Mauna Loa(コナ マウナロア)」で走った。

オフロードスタイルにカスタマイズされ、限定30台のこの特別仕様車。EV特有の静粛性に加え、ロードノイズや風切り音の侵入は抑えられている印象を受けた。島の空気感や路面の質感が、ダイレクトに伝わるようだ。

アウトドアシーンもぴったりの一台

最初に立ち寄ったのは、島のごはん処「みかさ」。 観光客はもちろん、地元の人からも愛されている。おにぎりをメインに、島の素材を使ったお惣菜や定食を提供している。

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定食では、おにぎりの具材を自由に選ぶことができる。営業は10時から13時半まで。売り切れ次第、営業終了するので、早めに立ち寄るのがお薦め。店内飲食は要予約。

コナは、ラゲッジに466L、フランクに27Lの積載が可能。旅行のための大荷物があっても、旅先での昼食のテイクアウトやお土産を購入にも困らない収納スペースを持つ。さらにルーフクロスバーにはアウトドアギアも積載可能。すぐに積める安心感が、旅のテンポを崩さない。

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「コナ マウナロア」はラバー製のラゲッジマットを採用。雨天でも活躍が期待できる。

食事を済ませて、コナを北へ走らせる。当日は小雨で、風も強かった。湿った路面ではタイヤの接地感が変わりやすく油断はできないが、そんな環境でも、「コナ マウナロア」のサスペンションは細かく路面に追従し、安定した走行を可能にする。

またATタイヤ特有のゴツゴツとした感じが、濡れた段差や石を潰していくように進む感覚をもたらし、ステアリング越しにも、ただのEVではない“構え”が伝わる。

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上:渡浮根展望台で。天気がよければ一面の青空を拝むことができる。 下:ATタイヤで悪路でも安心感のある走り。

平成新島トンネルを越えて、向かった先は渡浮根展望台。回生ブレーキは、4段階のうち中間にあたるレベル2を選択したが、自然な減速が効き、下り坂やコーナーの手前でもブレーキに頼らず、スムーズにスピードを落とすことができた。天気はあいにくだったが観光客の姿もあった。さすが新島の誇る、絶景スポットのひとつだ。

ここで驚いたのは、空港から10km弱ほど走って、航続距離がほとんど減っていなかったということ。回生ブレーキは、0から3、そして最大制動となる「i-Pedal」を加えた5段階で設定可能。レベル2でも減速時のエネルギー回収がしっかり体感でき、バッテリーの減りが抑えられていることがわかった。

状況に応じた、ドライブモードと回生レベル

絶景を堪能した後は、堀切と石山展望台を目指して出発。島の裏手へ向かう。堀切では、視界の抜けないワインディング。 左右に切り返すたびに、前輪が路面を捉える感覚。EVならではの低重心設計も相まって、ステアリングの反応は鋭く、ボディの揺れも最小限に抑えられている印象だ。

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木々が生い茂る迷路のような堀切だが、そこを抜ければ断崖の切れ込みから海が臨める。

ドライブモードは、「ECO」「NORMAL」「SPORT」の3種類。状況に応じて選びたい。今回のような上り坂が続く区間では、SPORTモードが頼もしい。アクセルを踏んだ瞬間から、想像以上の勢いで車体が前へと進む。トルクがしっかり立ち上がるので、坂道でも軽くアクセルを踏み込むだけで、背中を押されるように登っていった。

あえて石山展望台に入る道を通り過ぎ、周回してみる。未舗装路もあり、ゴロゴロという音とともに、ここでもサスペンションを感じる。「コナ マウナロア」は、快適性とともに安心もたらすクルマだと思わされた。

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上:石山展望台はトレッキングコースも用意されている。 中:駐車スペースに停めた「コナ マウナロア」。 中:トレッキングコースの入り口。好奇心をくすぐる。 下:展望台からの眺め。豊かな自然が眼前に現れる。

石山からの帰路は、下り坂が連続するので回生レベルを「3」に設定。ブレーキをほとんど使わずに下ることができた。場所は選ぶかもしれないが、ほとんどペダルを使わずゆっくり静かに滑り降りていく感覚は、EVならではのドライブ体験だといえるだろう。

EVだからこその楽しみ方がある

この日の夕食は、島で評判の「栄寿司」。名物は“島寿司”で、仕入れによってネタを変えている。この日は、めだい、かんぱち、いさきの握りが並んだ。大ぶりのネタに、からしがつんと効く。大将は「伊豆諸島の島寿司を食べ歩いているという人が、これまで5人訪れたが、全員がここが一番おいしいと言った」と語る。そんなエピソードにも納得の味だった。

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50年以上続く栄寿司。島寿司は島唐辛子を使うが一般的だが、ここでは食べやすいように一味を使っている。

島でのディナーなら、地元のスーパーで食材を調達して、海辺でゆっくり過ごすのもいい。夜が深まるにつれてあたりは真っ暗になるが、コナなら車内の照明がちょうどよい灯りになるし、ポータブル電源のように使える給電機能も役に立つ。テーブルランプをつないで読書をするもよし、スマートフォンを充電しながら音楽を流すもよし。クルマが旅の時間を豊かにしてくれる。

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夕食後は、古代ギリシャ風の建築が目をひく「湯の浜露天温泉」に寄った。24時間、年中無休。無料で利用ができる。

特別仕様の「ミラージュグリーン」が輝く

宿で一泊して翌朝。二日目も青空を見ることはかなわなかったが、朝食に「かじやベーカリー」でたまごパンとハンバーグパン、コーヒーを購入し、気分を一新してドライブ旅を再出発。

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上:羽伏浦メインゲートは、海と空の青と、ゲートの白が映える。 下:専用のブラックエンブレムが光る。

まずは、島のランドマークともいえる「羽伏浦メインゲート」へ。白いゲートの下に「ミラージュグリーン」と名付けられたこの色が映える。独特のボディカラーは、コナ マウナロアにのみ設定された日本初導入の専用色だ。「Hyundai」のブラックエンブレムも存在感を強める。

ボディ全体は、従来のコナに比べてよりシャープでアグレッシブな印象を与えるワイド&ローなつくり。さらにホイールアーチやサイドガーニッシュはマットブラックで統一し、個性をいっそう際立たせている。

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上:甘辛いタレでコーティングした鳥の唐揚げは食べ応え十分。 下:隠れ家のようなカフェ。週替わりのプレートや手づくりスイーツを提供している。

昼食は、古民家を改装した店内の「POOL」で。南国感とノスタルジーが同居する。この日のコーヒーは、グアテマラのシングルオリジン。島で体感するゆるやかな時間の経過にふさわしい、静かな一杯だった。 

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新島・鳥ヶ島。天気に恵まれれば美しいオーシャンビューを見ることができる。(提供:新島観光協会)
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桟橋跡とさるびあ丸(同)
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石山展望台からの夏の海と小島(同)
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コーガ石造の階段と鳥ヶ島(同)
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湯の浜露天温泉(同)
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羽伏浦海岸(同)

静粛性がもたらす、自己と対峙する時間

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走破性を有しながら、旅を快適に過ごすための相棒。

新島を走って思ったのは、このクルマがあえて主張しないSUVだということ。外界の音を遮らず、でも道を選ばない走破性を備えている。走行距離は約60km。バッテリーは15%ほどを消費するにとどまり、航続距離は320km以上残っていた。給電せず、静粛性を携えて旅を支えてくれる「コナ マウナロア」。このクルマでの一人旅は、ドライブというよりも自己との対話に近い。

コナ マウナロア

全長×全幅×全高:4,355mm×1,825mm×1,590mm
ホイールベース:2,660mm
電動モーター(EV)/前輪駆動 2WD(FF)
最高出力:150 kW(204PS)/5,800–9,000 rpm
最大トルク:255 Nm/0–5,600 rpm
1速固定減速機(EV専用)
乗車定員:5名
価格:¥4,950,000
問い合わせ:ヒョンデ モビリティ ジャパン
www.hyundai.com/jp