恐怖漫画の巨匠・楳図かずおが、語り尽くした最初で最後の自伝【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】『わたしは楳図かずお マンガから芸術へ』

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『わたしは楳図かずお マンガから芸術へ』

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楳図かずお 著 中央公論新社 ¥2,530

昨年88歳で亡くなった漫画家の楳図かずお。手塚治虫に憧れた少年は、恐怖漫画という独自の路線を切り拓いた。原点は父親が子守歌代わりに聞かせた「へび女伝説」。『赤んぼ少女』や『猫目小僧』、一歩引いた場所から人間を見つめるキャラクターを好んだ。逆境をバネに心理サスペンスに挑んだ『おろち』。文明が滅びた未来にタイムスリップした子どもたちのサバイバルを描いた『漂流教室』に破天荒なギャグ漫画『まことちゃん』。自らの人生と傑作が生まれた背景を語った本書は、不世出の天才による文明論になっている。

※この記事はPen 2025年7月号より再編集した記事です。