
インド北部ウッタル・プラデーシュ州のナワズプール村で、7歳の少女の首から脳にかけて、8センチのクギが刺さる事態が発生した。事件は5月15日に起こり、少女はただちに医療機関に搬送された。
このクギは、下顎から喉、口蓋を貫通し、そのまま頭蓋内にまで達していた。クギが刺さった状況については当初「遊んでいた最中に誤って転倒した際の事故」と報じられた。
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命を懸けた緊急手術
少女が搬送されたのは、同州ラクナウにあるキングジョージ医科大学(KGMU)の外傷センター。医療チームは即座にCTスキャンを実施し、クギが下顎を貫き、脳の一部に達していることを確認した。さらに、クギは首を通る主要な動脈に数ミリまで接近していたため、わずかな動きが致命傷につながる危険な状態だったという。
翌16日、ヴァイブハブ・ジャイスワル医師とサミール・ミシュラ医師を中心とした外科チームが緊急手術を実施。複数の診療科の専門医と連携しながら、脳や神経を傷つけることなくクギを慎重に取り除いた。手術は約4時間に及び、極度の集中力と高度な外科技術が求められた。
「クギは脳に達しており、特に口と脳をつなぐ神経のすぐそばを通っていた。細心の注意が必要だった」と、ミシュラ医師は現地メディアに語っている。
Man ‘drove three-inch nail into girl’s brain to stop her revealing sex abuse’ https://t.co/9DzgcEamXm
— Metro (@MetroUK) June 2, 2025
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合併症のリスクと少女の回復
手術後、少女は浮腫や感染症、神経系合併症のリスクを避けるために人工呼吸器を装着された状態で集中治療室(ICU)に収容された。継続的な観察が行われた後、5月29日には一般病棟に移された。
この時点で、少女はすでに意識を取り戻し、神経関連の異常も無いという。医療チームによれば、言語機能や運動機能にも明確な障害は確認されておらず、今後通常の生活に戻ることができる可能性が高いという。現在も経過観察中だが、これまでの回復ぶりは非常に良好とされている。
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背景に潜む「事故ではなかった」可能性
しかし、クギがどのようにして体内に入ったのかについては、事故以外の原因が浮上した。
英紙「Telegraph」や「Metro」の報道によると、少女の母親は医師に対し、「男に性的虐待を受けたうえで、口止めとしてクギを頭に打ち込まれた」と証言している。クギは建設現場などで使われるものとみられ、現場からの証拠と照合される可能性も示唆されている。

地元当局もこの証言を重視しており、当初の「転倒による事故」という見方に加え、性的暴行事件としての捜査が開始されている。
命の危機をくぐり抜け、奇跡的な回復を見せている少女。その背景には、危機的な状況に冷静に対応した医療従事者たちの高度な技術とチームワークがある。
だが、命を救うだけでは終われない。この事件が単なる事故で終わるのか、それとも少女の尊厳を踏みにじる重大な犯罪だったのか。今後の捜査の行方と、少女の完全な回復に注目が集まっている。