新しくなったスバル「フォレスター」は万能選手、デザインも性能も質感もアップ!

  • 文:小川フミオ
  • 写真:SUBARU
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スバルの人気SUV「フォレスター」がモデルチェンジを受けて、2025年4月に発表された。2.5リッターストロングハイブリッド搭載の「プレミアム」と「X-BREAK(エックスブレイク)」、1.8リッターターボの「スポーツ」で構成される。デザインも大きく変わっただけでなく、走りの質感がぐっと向上した印象だ。

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最高出力88kWの駆動用モーターを使い走破性の高さを謳うストロングハイブリッド「プレミアムEX」。

今回の第6世代の外観デザインは、従来と一線を画すものとなっている。「進化を感じられるよう、量感と頑丈さの追求をモチーフに、ボリュームのあるボディ」をつくりだしているとはスバルの説明だ。

フロントマスクは、大きな面積のグリルと上下幅の薄いヘッドライトが一体的な構成で、やはり大きなバンパー、一体型エアダムが組み合わされている。

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グロスブラックのヘッドランプ一体型グリルが際立つ、白い車体が似合うターボ「SPORT EX」。

聞けば、新型フォレスターの場合、エンジニアリング先行でデザインはその後という”通常の”流れとは逆。デザインをつくりこんでから、エンジニアリングを煮詰めたんだそう。

印象としては、日本とともに大きな市場である米国でも人気が出そうだ。米国製SUVやピックアップトラックを連想させるワイドなグリルなど、現代風の力強さがうまく表現されている。

先代のフォレスターは、その前の第4世代のデザインをあえて継承していたが、今回でコンセプトが大きく変わったのだ。その途端に、米国産でない車両、部品への高関税がトランプ政権によって打ち出されて、予想外の成り行きには同情を禁じ得ない。 

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Aピラーとリアクォーターパネルと車体同色とし、パネルとボディの間にアクセントを入れて車体の低さを強調。
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開口部幅1250mm、荷室高887mmを確保し、484リッターの容量の荷室を持つ。

実際にドライブすると、走り、乗り心地、室内の快適性と、すべての領域で質感がうんと上がっているのがわかった。

高速での安定性、コーナリング、さらに悪路での走破性と、オンからオフまでカバーするフォレスター。このクルマに想定される走行場面、ほとんどにおいて、出来映えがとてもよくなっている。 

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フルインナーフレーム構造でボディの剛性が上がりコーナリング能力が高くなっている。

従来は2.5リッターエンジンは、発進や加速のときのみモーターがアシストするマイルドハイブリッドだったが、今回はモーターがカバーする領域を増やしたシリーズパラレル式のストロングハイブリッドとなったのが新しい。

オンロードではアクセルペダルを意識して軽く踏むだけで走ると、モーターだけで走っていく。ストロングハイブリッド車の燃費はリッター18.8km(X-BREAK)とかなりよい。フォレスターの弱点だった燃費の問題の解決が図られている。

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前後輪まわりのふくらみが力強さを強調したデザイン。

新型の大きな特徴は、フルインナーフレーム構造。アンダーボディ、サイドパネル、ルーフなどをアセンブリーで組み立て、そのあと合体(溶接)する従来のやり方と、一線を画した工法だ。ボディ全体の骨格部材を組み立ててから、ボディパネルを溶接することで剛性をうんと上げられる。

そのため、サスペンションの動きの自由度が向上。高速道路でのレーンチェンジや小さなカーブが連続する道での姿勢の安定性が上がったり、岩がゴロゴロしている悪路で乗員がはげしく揺さぶられることもなくなった。

上記はスバルの説明だだ、筆者も高速、一般道、山道、岩場の悪路と新型フォレスターを乗ってみて、そのとおりだとよくわかった。長距離もいけるし、オフロードも走れてしまう。街中ではハイブリッドの恩恵がある。

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オフロードは「X-MODE」によって高い走破性を発揮。

スバルのエンジニアによると、本格的なクロスカントリー4WDと、快適志向のSUV、その両極の中間に位置づけられるクルマとして開発されたという。それにも納得させられた。

ストロングハイブリッド車は快適志向が強めで、とてもしずか。4人で乗っての遠乗りをこなせる。オールマイティなクルマという印象だ。後席空間も広くて、シートの出来もよい。

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質感のあがったダッシュボードで、ほとんどの操作はモニター内で行う。

対して1.8リッターターボ車は、すこし足まわりが硬められて、ステアリングも反応が早めだ。アクセルペダルを踏み込んでいくと、エンジン回転2000rpmの手前からターボがぐっと効き出して、加速が強まるのが感じられる。

トルクもたっぷり。新型フォレスターでも、ステアリングホイールに、「I(インテリジェント)モード」と「S(スポーツ)モード」とエンジンのレスポンスを切り替えられる「SI-DRIVE」が備わる。ターボ車だと太いトルクをぱっと使えるよう変速機も設定されていて、「Iモード」で十分だった。

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「Premium EX」のシートは乗員の姿勢保持にすぐれ疲れにくい。

ストロングハイブリッドもターボもAWD(全輪駆動)システム搭載。ただし前者は燃費も考えて高速道路などでは2WDになる。一方、ターボではコーナリング性能などを上げるため前後駆動力配分などを緻密に行う。

個人的には、ターボの「スポーツ」のグロスブラックのグリルが気に入っていて(オプションで違うデザインのグリルも用意)、これにもっとも人気あるホワイトの車体色ともよく合う。

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「X-BREAK」はラダータイプのルーフレールや(見えないけれど)撥水カーゴフロアボードを備える。

安全装備の充実もスバル車ならでは。ステレオカメラに加えて広角単眼カメラと前側方レーダーを持つ新世代「アイサイト」や、運転支援システムを組み込んだ「アイサイトX」が標準装備。

世界初の安全装備として「サイクリスト対応歩行者保護エアバッグ」も採用された。Aピラーという自動車のなかでもっとも硬い部分にひとの頭部が接触するのを防ぐため、万が一のとき凹型のエアバッグがウインドシールド周りの外部に展開する。 

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後席のスペースはたっぷりあり、乗り心地の快適性もうんと向上している(写真はPremium EX)。

モデルラインナップは、1.8リッターターボが「スポーツ」と「スポーツEX」、ストロングハイブリッドが「X-BREAK S:HEV」にはじまり「X-BREAK S:HEV EX」、「プレミアムS:HEV」、そして「プレミアムS:HEV EX」。

スバル フォレスター プレミアムS:HEV

全長×全幅×全高:4655×1830×1730mm
ホイールベース:2670mm
2498cc直列4気筒ハイブリッド(1795cc直列4気筒) 全輪駆動
最高出力:118kW(130kW)+モーター88kW(なし)
最大トルク:209Nm(300Nm)+モーター270Nm(なし)
燃費 :18.4km@L(13.6km@L)(ともにWLTC)
乗車定員:5名
価格:¥4,480,000(¥4,088,000)
問い合わせ:スバル
www.subaru.jp
(カッコ内はSPORT)