序曲のように誘う、イギリスアンティークの奥深き世界。「ジェオグラフィカ オーバーチュア」が外苑前で幕を上げる

  • 写真:河内 彩
Share:

ジェオグラフィカ オーバーチュア

250425_253-s.jpg
精緻な美しさを持つ「カップ&ソーサー」(¥12,100)から1930年代製の「ビューロー(オーク材)」(¥286,000)まで、豊富なラインアップ。

英国アンティークの世界を探求し続けてきたジェオグラフィカの2号店が、“序曲”を意味する店名「ジェオグラフィカ オーバーチュア」で幕を上げた。そこには、ワクワクしながら、より気軽にアンティーク家具を楽しんでほしいという暖かな思いが込められている。

2つのフロアからなる店内では、19世紀から20世紀にかけてつくられた英国アンティークを中心に、ベッドやチェアといった家具から、照明器具、雑貨まで、多彩な品々が並ぶ。いずれも、時代を超えて受け継がれてきたもので、機能性と装飾美を兼ね備えた確かな佇まいを見せている。その品々が、かつて誰の手に渡り、どんな時間を過ごしてきたのか。そこに至る背景やプロセスを知りたくなるのは、アンティークが物語を宿す存在だからだ。

特に注目すべきは、それらのアイテムが自社工房の職人によって丁寧にリペアされているという点だ。旧岩崎邸洋館や東京都庭園美術館など、歴史的建造物に付属する洋式家具の修復も担ってきた技術力をもって、本来の意匠を損なうことなく、時を超える美しさが引き出されている。また、港北ファクトリーに眠る部材やパーツを再活用し、新たな価値を吹き込むサステナブルな取り組みも同店ならでは。素材と向き合うことで見えてくる可能性が、空間の随所に表れている。

日本では“骨董”のイメージが先行しがちなアンティークだが、素材の確かさや手仕事に宿る美しさを次の世代へ受け継いでいく喜びを、もっと多くの人に知ってもらいたい。長い時を旅してきたアンティークたちの物語に想いを馳せながら、自分にとっての“一生モノ”との出合いを、ぜひこの場所で楽しんでほしい。

250425_199-s (1).jpg
「ジェオグラフィカ オーバーチュア」1階の様子。多種多様なアンティーク家具がディスプレイされ、木の艶やかな表情を魅せている。店頭で直接確かめるのはもちろん、公式サイトではそれぞれの由来やコンディションを丁寧に記しており、遠方からでもその魅力を堪能できる。
250425_215-s.jpg
テーブルウェアやキャンドルスタンドといった小物類も充実したラインアップ。
250425_212-s.jpg
250425_227-s.jpg
大人の遊び心をくすぐる小物も豊富に揃い、一つずつ手に取り眺めていると、時間を忘れてしまうほどだ。
250425_233-s.jpg
地下1階の赤い扉を開けると、そこにはシークレットバーが広がる。普段は開放していないが、ワークショップやイベントなどを楽しめるスペースとなっている。目黒通りの店舗で使われていた壁面什器が、2号店の空間に再び迎えられた。長年ブランドに寄り添ってきた一品が、場所を変え、今また新たな魅力を放っている。
⑦.jpg
骨董通りにある青山店(1号店)と合わせて楽しんでほしい。

GEOGRAPHICA overture

住所:東京都渋谷区神宮前3-35-8 ハニービル青山 B1・1F
営業時間:11時~19時
定休日:水曜日
https://geographica.jp
www.instagram.com/geographica_anq

※この記事はPen 2025年7月号より再編集した記事です。