アメリカ各地で“謎の光”が空を横切る様子が目撃されネット騒然…「すごい」「これは何?」

  • 文:吉井いつき
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Shutterstock ※画像はイメージです

アメリカ各地で空を横切る謎の光帯が観測された。当初、多くの人々はオーロラの発生に伴う特殊な大気の発光現象と考えたが、どうやらその原因は中国で行われたロケット発射にあったようだ。英デイリーメールなどが取り上げている。

空を横切る不思議な光

5月17日の夜10時〜11時頃にかけて、米アリゾナ州、ニューメキシコ州、コロラド州、ユタ州、モンタナ州にかけての広い範囲で、不思議な光が目撃された。それは空を横切るまっすぐな白い光の帯で、流れ星や隕石の光とは明らかに異なっていた。この珍しい現象に、SNS上には多くの画像が投稿され、各地から目撃情報が寄せられた他、「すごい」「これは何?」と盛り上がった。

この日は磁気嵐とオーロラの発生が観測されていたため、当初この謎の光はSTEVE(スティーブ)と呼ばれる発光現象だと考えられた。スティーブはオーロラが発生したときに観測される緑や紫の鮮やかな光帯で、オーロラの発生しない低緯度の地域にも出現する大気の発光現象だ。

原因はロケットの燃料?

だが、天文学者ジョナサン・マクドウェル氏によると、光の帯の正体は大気中に廃棄されたロケット燃料の可能性が高いという。

謎の光が現れたおよそ1時間前、中国のランドスペース社がゴビ砂漠の酒泉衛星発射センターから朱雀2号を打ち上げている。朱雀2号は液体酸素と液体メタンを使用する液体燃料ロケットで、上段が地上約250kmに達した時点で燃料放出を行っている。このとき放出された燃料が光の帯となったというのである。

放出された燃料は、大気中で凍り付いてリボン状に細く長く広がるという。それが地上から光って見えた原因として考えられるのは、燃料の結晶に太陽光が反射した可能性と、燃料の成分自体が大気の上層部にある電離層で化学反応を起こして発光した可能性だ。英デイリーメールの記事では、光が目撃されたのが夜であること、燃料放出が電離層のあたりで行われたことから、今回は電離層での化学反応による光である可能性が強いとしている。

ロケットの燃料が引き起こす「謎の光」は近年たびたび発生している。今年3月にも、米スペースX社のファルコン9ロケットが原因でイギリス上空に光の渦巻きが発生して話題となったばかりだ。

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謎の光

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