【Penが選んだ、今月の音楽】
『ラウタヴァーラ:カントゥス・アルクティクス、ドヴォルザーク:交響曲第8番』

前半に収録された北欧の2曲が、特に素晴らしい。北極圏の鳥の声をオーケストラと共演させた「カントゥス・アルクティクス」は、鳥の録音の雰囲気に合わせるため管弦楽はどれも似たりよったりの演奏になりがち。だが、指揮者オラモは巧みにメリハリをつけて、新鮮な印象を生み出していく。ソプラノの超難曲でもある「ルオンノタル」は、歌唱を務めた指揮者の妻コムシが驚異的! 管弦楽を突き抜ける絶唱から陰影豊かな弱音まで使いこなし、女優のような表現も巧み。誰もが引き込まれずにはいられない。
※この記事はPen 2025年6月号より再編集した記事です。