100年以上続く伝統製法でつくる、甘く優しい口当たりのテキーラ【プロの自腹酒 vol.31】

  • 文:山内聖子
  • 写真:榊 水麗
  • イラスト:阿部伸二
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フォルタレサ蒸溜所/フォルタレサ ブランコ

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メキシコのハリスコ州にあるテキーラの名門サウザ家の5代目が、100年以上前から伝わる伝統製法でつくる100%アガベのプレミアムテキーラ。蒸溜後はステンレスタンクで落ち着かせてからボトリング。ドライフルーツやバニラのような甘みにうっとりする。昔ながらの手吹きでつくられるメキシカンガラスと、アガベの球茎部を模した手づくりの栓も魅力的だ。750mL ¥9,350(実勢価格)/ウィスク・イー TEL:03-3863-1501 ※実勢価格は編集部調べ

「テキーラの魅力は底なし沼のように深い」。そう言いながら目を輝かせるのは、テキーラを愛してやまない伊藤裕香さん。彼女はテキーラ専門店を経営するかたわら、「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション」の審査員や、テキーラの原料であるアガベの魅力を発信する「AGAVE SUMMIT」の実行委員長なども兼任。鮨とテキーラとのペアリングイベント「鮨テキ」も全国展開するなど、生活はテキーラ一色だ。

ところが意外なことに、もともとテキーラは苦手な酒だったと教えてくれた。

「学生時代のアルバイト先やクラブで無理やり飲まされて悪酔いした経験しかなくて。でも、15年くらい前、出版社で働いている時にたまたま行きつけのバーで薦められたテキーラを飲んでびっくり。アガベだけを使ったテキーラだったのですが、おいしいだけではなく、7杯も飲んだのに翌日にまったく残らないんですよ。夢のような酒だと感動しんです。それ以来テキーラにハマってしまって。このお酒の魅力を伝えたいと思い、脱サラして店を開業しました」

そんな伊藤さんがいまイチ押しの一本が、「フォルタレサ ブランコ」。約7年かけて育てたアガベをレンガづくりのオーブンで糖化し、石臼を使って搾汁するなど、伝統的な製法でつくっているテキーラだ。

「アルコール度数40%とは思えないまろやかさがあり、口当たりが優しいのが特徴。実は酢締めした青魚の鮨とよく合うんです」

ハーブのような香りがコハダの臭みを消し、ほのかな甘みがシャリに馴染むという。異色の組み合わせだが、互いが見事に寄り添う相性だ。

「日本だと未だにテキーラは強くて悪酔いするお酒という印象が強いのですが、まずフォルタレサ ブランコを飲んでほしい。きっと私のようにテキーラを好きになってくれるはず」

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アガベの甘い香りが酢締めにぴったり

昔ながらの製法でつくったフォルタレサ ブランコには、鮨、特に光り物やコハダなどの酢締めと合わせるのが伊藤さんのお気に入り。塩やライムを搾ると、酒の香りが引き立つ。

伊藤裕香

出版社勤務を経て、2013年、東京・大井町でテキーラ専門店を開業。常時400種類以上のテキーラを揃えている。鮨とテキーラの「鮨テキ協会」会長なども務める。

テキーラバール ガティート

住所:東京都品川区大井4-10-7
TEL:03-3774-7757

※この記事はPen 2025年6月号より再編集した記事です。