鑑賞者を作品世界に関わらせる、オノ・ヨーコが仕掛ける個展

  • 文:河内秀子
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BERLIN ベルリン/ドイツ

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ベトナム戦争を背景に、平和を訴える活動を続けていたオノ・ヨーコとジョン・レノン。ふたりの有名なパフォーマンス、「平和のためのベッド・イン」は1969年、アムステルダムで行われた。 photo: Ruud Hoff

92歳を迎えたオノ・ヨーコ。アートを通じて平和へのメッセージを送り続ける彼女は、いまあらためて注目されるべき存在だ。ベルリンでは3つの美術館で同時に個展を開催。そのひとつ、新ナショナルギャラリーの『ドリーム・トゥギャザー』展では、見るものをあらゆる方法で作品世界に関わらせようと試みる。鑑賞者はまず、『クリーニング・ピース』(1996年)を通じて、よろこびや悲しみを振り返るよう促される。続いて、折り鶴を折るよう指示され、別の部屋では壊れた陶器のコップをつなぎ合わせ、「知恵と愛で繕う」修繕行為に参加。庭には『ウィッシュ・ツリー』(1996年)が立っており、展示を通して改めて平和の大切さに気づかさせれるだろう。

www.smb.museum/en/exhibitions/detail/yoko-ono-dream-together

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69年12月にニューヨーク・タイムズ紙で発表された意見広告、「戦争は終わったーあなたが望むのなら」。 © Yoko Ono

※この記事はPen 2025年6月号より再編集した記事です。