せっかく撮影した写真を画面上で眺めるだけで終わらせてしまうのは、実にもったいない話。写真家としても活躍するモデルの琉花が、“撮った後” の楽しみ方をお薦めアドレスとともにナビゲート。ここでは「展示する」楽しみ方を探る。
いま、“カメラ”を手にし、“写真”を楽しむ人が増えている。ライカからインスタックスまで、多種多様に広がるカメラの選択肢を紹介しながら、写真の撮り方、そして印刷し額装するアイデアまでを、その道の達人たちにうかがいながら紐解き、紹介する。
『いまこそ楽しい! カメラと写真』
Pen 2025年6月号 ¥880(税込)
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写真を展示することは、写真選び、額装、壁面や会場の構成など、やってみて初めてわかる面白さに満ちている。なにより誰かに写真を見てもらうことは、新鮮で刺激的な体験だ。



左:今年2月28日から3月16日まで、写真家lukaとしての写真展『MOROCCO 2017 – 2025』が開催された。写真左は会場となった原宿のギャラリー、スクーターズフォーピースを運営する牛尾則行。 右:写真の配置を決めることは難しくもあり、楽しい作業でもある。「どの写真をどこに飾るのかを考えながら、定期的に訪れたモロッコの旅を振り返ることができました」と琉花。

他人に写真を見てもらうことは写真展の醍醐味のひとつ。「写真を見た方にその写真を撮った理由を聞いていただいたり、思いもよらない方向から褒めていただいたり。新しい発見がたくさんありました」
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展示して楽しみたいときのスポットリスト
1. 国内外問わず、作家の心が垣間見える作品を展示「スクーターズフォーピース」

ギャラリーの広さはおよそ44㎡。
2019年、原宿にオープン。ギャラリストの牛尾則行のキュレーションにより、写真に限らず、ペインティングやセラミックなど国内外の現代アートを展示する。特に「実体験が伴った身体で知覚しているものを写し出す写真家や、その心の一端が見える作品を好んで選んでいる」と牛尾は話す。写真の展示を考えている人にとっては、ほかの作家の作品を観たり、牛尾と話すことで、多くのヒントや気づきが得られるギャラリーとなっている。

lukaの写真展の様子。写真のサイズなども踏まえながら、どの写真を白壁のどこに配置するのかによって、写真展全体で伝わる内容も変わってくる。

原宿駅から徒歩10分ほどの場所にあり、周囲には洋服や雑貨を扱う店やギャラリーも多いため、感度の高い人が数多く訪れる。
スクーターズフォーピース
東京都渋谷区神宮前2-19-5
TEL:03-6384-5900
営業時間:13時〜19時 ※展示期間中のみ営業
定休日:日、月
https://scootersforpeace.com
※Pen最新号『いまこそ楽しい!カメラと写真』P96のキャプション中に記載のギャラリー名で誤りがございました。
誤:スクーターズフォース
正:スクーターズフォーピース
訂正してお詫び申し上げます。
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2. 作品1点から出展可能、多数開催の公募展が狙い目「ナダール」

壁は鉄板入り。マグネットで作品を展示できるから設営作業が容易だ。
多様なテーマの公募展を年間15回近く開催。作品1点から参加できるハードルの低さが魅力だ。『モノクロ写真展』『鉄道写真展』など毎年恒例の企画も多い。京都・大山崎にもナダールはあり、東京との巡回展も行われている。注目は『めざせ個展』で、来場者からの得票数で1位に選ばれると5日間の個展を無料で開催できる。公募展だけではなく、グループ展や個展の開催も可能。作品選びや壁面の編集など、写真展では未知の楽しさを味わえる。

ナダール 東京 マネージャーの早苗久美子。「写真を展示し、多くの人に観てもらったからこその体験や気づきが多く、個展をきっかけに作家を目指す方もいらっしゃいます」

公募展の参加は1点¥8,000〜。個展の開催は5日間¥110,000〜(6カ月前までに申し込み)。
ナダール
東京都世田谷区世田谷1-41-2 スカイコート第3 108
TEL:03-5799-4303
営業時間:11時〜18時(展示最終日〜16時)
定休日:月、火
https://g-nadar.net
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3. 印刷から写真展まで一気通貫、初心者でも安心して開催できる「ピクトリコ ショップ&ギャラリー」

ギャラリーの広さは20.8㎡。オプションで展示の設営撤去や日曜営業も可能(有料)。フォトブックス制作サービスで図録を制作し、写真展開催時に委託販売することもできる。
三菱王子紙販売が展開する高品質インクジェット用紙ブランド、ピクトリコのギャラリー。プリント工房を併設し、紙選びやプリント、加工、額装、展示レイアウトの相談など写真展の開催準備がここだけで完結できるため、初めてでも安心。しかも作品の制作を¥132,000以上プリント工房に依頼すると、ギャラリー利用料の5日間¥77,000が無料に。告知用のポストカードを都内のギャラリー65カ所に無料送付してくれるなどバックアップも手厚い。

運営責任者の山本真也。写真展開催希望の場合、3カ月前には相談するのが望ましい。

15種類以上ある用紙の中から作品のイメージに合うものを選択できる。
ピクトリコ ショップ&ギャラリー
東京都墨田区横網1-2-16 両国ガイビル 國技館前5F
TEL:03-6658-5823
営業時間:11時〜18時
定休日:日、月
www.pictorico.jp/shop
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4. プロから学生まで、自由な雰囲気で写真を展示「ナインギャラリー」

ギャラリー使用料は1週間¥200,000。学生は¥150,000。写真の販売手数料は売上の20%が基本。展示の申込みは1年前から受付けている。空きがあれば1カ月前でも申込み可能。
日本大学芸術学部写真学科の講師も務めるアートディレクター、三村漢主宰のギャラリー。広さはおよそ50㎡で、可動壁により展示に合わせた会場レイアウトが可能。出展者はプロカメラマンから著名人、写真部の学生まで幅広い。自由に遊べるギャラリーを目指し、昔の懐かしい写真を自由に持ち寄りギャラリーの壁の好きなところに貼っていく『みんなの押し入れアルバム』なる企画展など、ユニークな試みも行っている。

ナインギャラリー主宰の三村漢。写真展のディレクションを三村に依頼することもできる(有料)。

ナインギャラリー
東京都港区北青山2-10-22 谷・荒井ビル1F
営業時間:10時〜19時(展覧会により異なる)
定休日:月
https://ninegallery.com
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