
世界には、便座部分をわざと湾曲させたトイレがある。これはデザイン性を考慮したものではなく、「排便しやすさ」を考えてつくられたものであるという。
自然な“ヤンキー座り”をサポート
一般的な洋式トイレは、便座部分が床と平行だ。だが、いまSNS上で話題になっているトイレは、便座の奧側が下方向に凹んだデザイン。一般的な洋式トイレならば、腰かけたときに両膝の高さは太ももとほぼ同じくらいになるが、この便座に座ると、自然と両膝が高くなる。俗に言う「ヤンキー座り」の姿勢が自然とできるかたちだ。
こんなデザインのトイレにしたのは、人間の内臓を考えたうえでのこと。上半身に対して脚が90度になる一般的な洋式トイレの姿勢では、排便のときに使われる恥骨直腸筋という筋肉が緊張した状態になり、腸がねじれたり折れ曲がったりして、便が排出されにくいのだとか。しかしこの湾曲したトイレに腰かけると、しゃがんだような姿勢となり、恥骨直腸筋がゆるみ直腸がまっすぐになって便が自然と排出されやすくなるというのだ。
姿勢と排便のしやすさについては、科学的にもエビデンスがある。2012年に発表された論文で、座って排便した人の排便にかかった平均時間は2分以上だったのに対して、しゃがんで排便した人は51秒と、しゃがむ方がスムーズに排便しやすいことがわかる。
そんなことをもあって、排便にベストな姿勢になるように便器自体をデザインしてしまったのが、このトイレというわけだ。
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「立ち上がれない」「水位が気になる」、実用性に懸念の声も
一見すると、どきっとするこのトイレ。使い方を紹介したSNSの動画を見た人からは、まず「いままで間違った姿勢で排便してきたんだ!」という驚きの声がたくさん集まった。広く世界に普及しているトイレのデザインが、排便に最適なものではなかったと知ったら、ちょっとしたショックを受けるのは不思議ではない。
ただ、実用面を考えると意見は分かれるようだ。かなり低い位置にしゃがむようになるため、手すりがないと立ち上がりにくい。そのため、「こんなに低いトイレは絶対に嫌だ」「いつかは立ち上がらなければならないのに、こんな姿勢では立てない」という声も。また「水位が気になる……」と、便器のなかの水を気にする人もいるようだ。
このトイレは、アジアの国々で導入されているところもあるのだとか。もし一般的な洋式トイレのままで、排便にいい姿勢を取ろうとするなら、両脚の位置が高くなるようにするといいという。実際、アメリカでは10年以上も前から、「よりよい便のためのツール」と謳った踏み台も販売されている。
もし便秘に悩んでいたり、腸の健康を考えたりするなら、こんなトイレや踏み台の利用を考えてみてはどうだろうか。
【出典】
https://www.dailymail.co.uk/health/article-14663269/proper-poop-position-thanks-unusual-toilet-design-YOU-going-wrong-way.html
https://www.instagram.com/p/DI6qViCMj7k/
https://www.youtube.com/watch?v=izylyU7gHq4
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“ヤンキー座り”をサポートするトイレ
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