せっかく撮影した写真を画面上で眺めるだけで終わらせてしまうのは、実にもったいない話。写真家としても活躍するモデルの琉花が、“撮った後” の楽しみ方をお薦めアドレスとともにナビゲート。ここでは「額装する」楽しみ方を探る。
いま、“カメラ”を手にし、“写真”を楽しむ人が増えている。ライカからインスタックスまで、多種多様に広がるカメラの選択肢を紹介しながら、写真の撮り方、そして印刷し額装するアイデアまでを、その道の達人たちにうかがいながら紐解き、紹介する。
『いまこそ楽しい! カメラと写真』
Pen 2025年6月号 ¥880(税込)
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お気に入りの一枚や記念の写真をプリントしたら、ぜひ額装して飾りたい。毎日眺められるし、なにげなく撮った写真でも額装した途端に見事なアート作品に見えてくるから面白い。

琉花が額装のために訪れたのは、三軒茶屋にあるノートワークス。木製の額縁専門店で、壁に並ぶサンプルは素材やサイズ、ディテールがさまざまで、どれにしようか迷ってしまう。「シンプルでカクっとした額縁が好き」と話す琉花。どんな額装に仕上がるのだろうか?

店を営む木工職人のひとり、川上大輔さんに相談しながら、額縁の種類やサイズ、マット紙などを選んでいく。いろいろな組み合わせを試して、理想の額装のかたちに絞り込んでいく作業は、時間を忘れるほど楽しい。


左:フレームの色も悩みどころだ。「色が違うだけで写真の見え方が全然変わりますね」と琉花。飾りたい写真の色みに近い色のフレームを合わせると収まりがよいが、あえて外すのもありだ。 右:マット紙選びのポイントは芯と呼ばれる断面部分の色。ここが枠として写真を縁取ることになるため、フレーム同様に色が変わると想像以上に印象も変わる。琉花はスパッと黒に決めた。

雪山で撮影した写真の額装が完成! カーディガン¥28,600/バトナー(バトナー☎03-6434-7007) ブレスレット¥66,000/バイスミス(ワールドリーワイズ☎03-5369-6428) パンツ¥28,600/ザ シンゾーン(シンゾーン 表参道本店☎070-1389-5295) Tシャツはスタイリスト私物。
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額装して楽しみたいときのスポットリスト
1. 木工職人が手づくりする、木製の額縁専門店「ノートワークス」

中央のテーブルにさまざまな額縁やマット紙のサンプルを広げながら、自分好みの組み合わせを選んでいく。
木工職人の児玉裕史と川上大輔のふたりが、ハンドメイドで生み出す木製の額縁を扱う店。店内の壁にはさまざまな素材やサイズ、デザインの額縁が並び、まずはそこから気になるものを選んでいく。さらにサンプルフレームから別の色や素材なども検討しながら額縁を選定。他にもマット紙の種類や、作品を保護するガラスやUV アクリルの有無などを選べるため、自分好みの額装が見つかるまでの時間は平均1時間ほど。完成した時の喜びは格別だ。

クラフト感たっぷりの店構え。奥にはアトリエも併設。

壁に並ぶ額縁に額装したい写真を当てて、相性や雰囲気を確かめながら額縁を選ぶ。今回琉花が組んだ額縁(P92)は、オークフレーム(ウインドウサイズ/230×180㎜)¥18,700
ノートワークス
東京都世田谷区若林2-31-12 サンクレスト若林103
TEL:03-6450-7392
営業時間:13時~18時
定休日:不定休
www.noteworks.jp/
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2. 大切な写真を美しく飾り、保存する額縁が見つかる「ニュートン」

受注後は手作業によって額装を行う。納期は2~3週間ほど。A4サイズの額縁で¥10,000程度~
1969年創業の老舗店。一般的に、額装屋でオーダーから額縁を購入するという経験は人生で何度もあることではない。そんな特別な出来事だからこそ「家に飾るところまでを最高の思い出にしたい」という気持ちで額装を行っている。まずは対面で額縁に収めたい作品の内容や、飾りたい場所、イメージしている額縁の色、予算などを伝え、ベストなものを見つけていく。額縁は写真を美しく保存する役割もあるので、ぜひ大切な一枚を額装したい。

ニュートン代表の鷹箸廉。家業を継承して代表に。13年前からギャラリーも運営。初めての人を対象に額縁相談会を開催するなど、額縁との接点を増やすさまざまな試みも行っている。

東急東横線都立大学駅から徒歩3分。目黒道路沿いに店を構える。
ニュートン
東京都目黒区八雲1-5-6
TEL:03-3723-1230
営業時間:10時~19時(要予約)
定休日:月 ※日、祝は不定休
newton-frames.com/
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3. 国内に流通するサンプルをほぼ網羅する、驚異の品揃え「ファブリ」

サンプルが並ぶ店内。定型サイズの既製品の額縁のほか、1㎜単位でサイズの指定ができるパターンオーダーや、デザインから色までお好み通りに決められるフルオーダーまで対応。六つ切り写真向けの額縁(マットなし)で¥5,000~
国内で扱われている額縁のサンプルをほぼ網羅。都内最大級の品揃えを誇る。作品の周囲の余白を埋めるマット紙は定番だけでも約800種類が揃う。15人弱の販売員全員が額装も行う専門スタッフで、年齢層は20代前半から60代後半と幅広い。美術系の学校で学んだ人のほか、法学部卒や理工学部卒など経歴はさまざま。平均接客時間は60分~90分で、豊富な知識と個性を兼ね備えたスタッフに相談しながら、理想の額縁を手に入れたい。

個性的なスタッフが額縁選びの相談に乗ってくれる。

店内で額縁制作や額装作業を行っている。
ファブリ
東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル 2F(250号室)
TEL:0120-990-560
営業時間:11時~20時
定休日:無休
fh-fabri.com/
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4. あたたかみのある木製の額縁を、オーダーメイドで制作 南方書局工作部「南方」

木材をカットするところから一つひとつ手作業で制作している。
日本と台湾に拠点を置く独立系出版社、南方書局の工作部として額縁のオーダーメイド販売をスタート。サイズ、余白、フレームの幅、木材の色目、仕上げ方法などを聞いた上で、要望に沿った額縁をハンドメイドで制作している。素材は栂材とラワン材を中心に、希望があれば檜やベニアなども使用。味わい深い木の風合いや手づくりならではのあたたかみのある額縁は、和室、洋室を問わず、飾る場所を選ばない。

南方書局代表の富澤大輔(中央)をはじめ、現在3人で額縁制作に取り組んでいる。今後はハンドメイドによる既製品の販売も予定。 左下:額縁の価格はポストカードサイズで¥5,000~。A4サイズで¥7,000~。いずれもマット紙はのぞく。納期は要相談。最短で1週間程度。

南方書局工作部「南方」
anyone@nanfangshuchu.com(富澤大輔)
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