いま訪れるべき! カメラ・写真好きが通う、街のショップ6選

  • 写真:太田太朗、金本凜太朗、竹之内祐幸
  • 編集&文:鈴木 誠
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初心者や若者を中心に人気を集める新店から、通に愛され続ける伝統の老舗まで……。本誌特集内で紹介している12店のうち、カメラライフを豊かにする個性的なショップを6店舗紹介。

いま、“カメラ”を手にし、“写真”を楽しむ人が増えている。ライカからインスタックスまで、多種多様に広がるカメラの選択肢を紹介しながら、写真の撮り方、そして印刷し額装するアイデアまでを、その道の達人たちにうかがいながら紐解き、紹介する。

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1.フィルム入門者にお薦め、写真好きの若者が始めた店「三葉堂寫眞機店」

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店舗は日暮里駅から500mほどの距離にある。懐かしいフジカラーのベンチが目印だ。フォトスポットとして人気の谷中エリアも近い。

SNSで出会った写真好きの3人による三葉堂寫眞機店は、今年でオープン8周年。「まずはしっかり撮れるカメラを1台持った上で、いろいろ冒険するのがオススメ」として、店頭に並ぶのは初心者でも即戦力にできるメンテナンスが行き届いたカメラばかり。フィルムカメラデビューにおいては“中古商品の目利き”が欠かせないと分析し、それに応えるべく安心感を提供している。店舗の約半分をギャラリースペースとして、写真を発表する楽しさも提案。さらにカメラを貸し出し、撮影を体験できる機会を提供、現像・プリントした写真を見せ合うワークショップも開催と、フィルム写真の豊かさと楽しさを発信する新世代の名店だ。

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上:広報担当の松田拓也。カウンターに置かれたフィルム棚もレトロな雰囲気。フィルム写真自体が、写真を始めるきっかけになる客が多いという。 下:注目点は、ポラロイドカメラの修理ができること。専属の修理スタッフが在籍し、名機「SX-70」をはじめとした多くの機種に対応できるため、全国から修理の依頼が集まっている。

三葉堂寫眞機店
東京都荒川区東日暮里5-32-6
TEL:03-6884-4943
営業時間:11時〜19時
定休日:水
www.mitsubado.com

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2. 秘密基地のような空間で、オールドレンズの魅力に出合える「2nd BASE by sanpou camera」

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店舗デザインは「世界を飛び回るカメラマンの秘密基地」がコンセプト。モノクロの写真プリントが天井からぶら下がっていたり、旅のアイテムが置かれていたりとこだわっている。暮らしのなかのカッコいいアイテムとしてのカメラ・レンズが輝く。

「“フィルムライク”と呼ばれるアナログ的な質感を求めながらも、フィルムでの撮影からオールドレンズを使ったデジタル撮影に移る人が増えている」と話すのは、店長の三村祐太。折からのフィルム価格上昇や品薄を受けての潮流だ。ここは、フィルムカメラとオールドレンズに特化した店として若い人を中心に人気があり、コンデジブームの影響でデジカメ使用経験のない10代にまで客層は拡大。コレクタブルなレア機材というより、初心者に提案しやすい手頃で実用的なカメラ・レンズをメインに揃える。コンセプトの行き届いた店づくりに、新たな趣味への気持ちが高まる。 

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上:アクセサリーのコーナーには「モノとしてのカメラも好き」と話す三村が自ら企画したレザーグッズも展開している。 下:販売中のオールドレンズのそばには、そのレンズで撮られた写真を並べている。あらゆるマウントアダプターを用意しており、手持ちのカメラに購入検討中のレンズを取り付けて試せる。

2nd BASE by sanpou camera
東京都千代田区神田練塀町13-1外 SEEKBASE 01棟
TEL:03-6303-2388
営業時間:11時〜20時
定休日:水
www.2ndbase.jp

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3. 現行デジカメの買い替えに自信、中野でカメラといえばココ「フジヤカメラ」

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中野駅北口を出て100mほどの場所にある本店。黄色い看板が目印だ。ちなみに同じ建物の2Fにあるカフェ「ルノアール」も常連客にはお馴染みの立ち寄りスポット。

都内でカメラ店が特に多い新宿エリアと行き来しやすい中野の老舗店。90年近い歴史を持つ。各社デジタルカメラの新品・中古を豊富に揃え、下取り時には買い取り査定額が15%アップするなどの利点から、ここで機材を買い換え続けるカメラファンは多い。そのため常連客の比率が多いとのことだが、もちろん初心者の購入相談にも対応する。またフジヤカメラといえば「用品館」「ジャンク館」といった専門フロアも有名。アクセサリー類の充実度もかなりのものだ。直近では業務用ビデオ機材店をルーツとする「動画館」も加わり、ますますカバー範囲を広げている。

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上:カメラメーカーごとにずらりと並ぶショーケース。新しいデジタルカメラのみならず、ニコンやライカなどのフィルムカメラも豊富に用意されているのもポイント。 下:本店の向かいにある「用品館」のフロア。三脚やカメラバッグをはじめとする撮影用アクセサリー類が所狭しと並んでいる。最近は小さく折りたためて持ち運びやすい、トラベラータイプと呼ばれる三脚が人気とのこと。

フジヤカメラ
東京都中野区中野5-61-1 中野タツミビル
TEL:03-5318-2241
営業時間:10時〜20時30分
無休
www.fujiya-camera.co.jp

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4. 新宿の地下に広がる、中古カメラのワンダーランド「中古カメラBOX」

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店内は圧巻の物量。おそらく関東のカメラ店では最高密度だろう。客同士のすれ違いも大変だが、もはやそれも含めエンターテインメント。天井に掲げられた万国旗は国際親善の印。

多くのカメラ店が並ぶ新宿エリアでも、ひと際カメラ密度の高い店内。海外から訪れたカメラ好きが「これはワンダーランドだ!」と興奮することもしばしば。一見マニア向けのお店だが、初心者も多く訪れている。たとえばお目当てのカメラが在庫になくても、見た目が似たカメラ、同等の機能でより安いカメラなど、豊富な知識で選択肢を次々と教えてくれる。おもに国産のコンパクトカメラや一眼レフカメラが充実。近ごろ観光客が増えたからといって、観光地価格に改める様子がないのもうれしい。インターネット時代には珍しく、掘り出し物に出合えそうなスポットだ。

 

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上:「いまはお客さんの7〜8割が外国人だね」と語る代表の田中振男。旅の思い出に記念撮影を求める外国人観光客に笑顔で応じるほど気さく。ノートに書かれた購入者情報もほとんどが横文字だ。 下:宝探しの気分が高まるエリア。購入検討時は気軽に袋から出してもらえる。これだけの在庫量があると、気になるカメラも複数台の在庫があり、価格や商品の状態を吟味できる。

中古カメラBOX
東京都新宿区西新宿1-13-7 大和家ビルB1
TEL:03-5339-2701
営業時間:10時30分〜19時30分
定休日:1/1、1/2
http://camerabox.web.fc2.com

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5. 定番から改造品まで、全方位対応型の名店「レモン社 秋葉原店」

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「大人の趣味の店」をコンセプトとして1983年に創業したレモン社。秋葉原店のほかには銀座、新宿、池袋、渋谷、横浜、名古屋栄にも店舗があり、一部店舗は万年筆も取り扱う。

JR秋葉原駅の昭和通り口側にオープンして10年目となる、レモン社の支店。デジタルカメラが集まりやすく新品で入手困難な「リコーGR」や「富士フイルムX100」系といったコンパクトデジカメに問い合わせが多い。初心者が求めやすいフィルムカメラもあり、ハーフサイズのコンパクトカメラ、1〜2万円の予算で購入できる一眼レフでカメラデビューする人も。同社は「買い取りを断らない」がポリシーのため、他店では値が付かなかったアイテムも持ち込んでみる価値ありだ。改造レンズなどマニアックな品々も並ぶ。証明写真やプロフィール撮影用のスタジオも併設する。

 

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上:店内でも特に物量が多かったのは、ニコン製品の棚。フィルム一眼レフカメラからデジタル一眼レフカメラ、ミラーレスカメラまでが一堂に並んでいる。レンズも各時代のニッコールが揃う。 下:委託品として並ぶ品の中に、玄人向けのマニアックな改造レンズの数々があった。個性派カメラのレンズをライカ用レンズの鏡筒に組み込み、ライカで使えるようにしたものなどがある。

レモン社 秋葉原店
東京都千代田区神田佐久間町1丁目19 山中ビル 3F
TEL:03-3253-0255
営業時間:10時30分〜19時30分
無休(年末年始以外)
www.cameranonaniwa.co.jp

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6. 老舗店が大胆リニューアル、お酒も飲めるカメラ店に「にっしんカメラ」

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ショーケースに並ぶカメラやレンズの品揃えは伝統的なカメラ店そのものだが、店内空間はぐっと明るい雰囲気になり、初心者でも入りやすい。秋葉原という土地柄から観光客も多く来店。外国人観光客には日本メーカーのAF一眼レフカメラが人気だという。

40年以上の歴史を持つカメラ店が、コロナ禍の休業期間を経て様変わり。雑貨店のような明るさと親しみやすさを感じる空間になった。とはいえカメラ店としての濃さは変わらず、フィルムコンパクトカメラから一眼レフ、最新のミラーレスまで満遍なく陳列。経験豊富なスタッフが好みや予算に応じてレコメンドしてくれるから初心者も安心だ。最近は、オールドコンデジが人気なことから、古い機種でも使える旧規格のメモリーカードやバッテリーも並べているところは流石。夜には不定期でバーとしても営業しており、カメラを眺めながら酒を飲めるスポットとなっている。

 

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上:不定期で「BAR一番地」として営業。カメラ談議をしながら一杯やるもよし、純粋にお酒を楽しむもよし。テーブルチャージが不要なのも人気の理由だ。 下:特に外国人観光客から人気だという、土産感覚で購入できるオリジナルグッズ。同じイラストのシールやトートバッグも販売している。

にっしんカメラ
東京都千代田区神田岩本町1-13 秋葉原清新ビル 1F
TEL:03-3251-7504
営業時間:10時〜19時
無休
https://nisshin-camera.com

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