“自分の色”を求めて写真表現を磨き続ける、映像作家・林響太朗の愛用カメラ

  • 写真:丸益功紀(BOIL)
  • 編集&文:石井 良
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写真やカメラをこよなく愛し、日常の中で撮ることを楽しむクリエイターたち。 映像作家、写真家の林響太朗が愛用するカメラとその一台で撮った写真、こだわりについて聞いた。

いま、“カメラ”を手にし、“写真”を楽しむ人が増えている。ライカからインスタックスまで、多種多様に広がるカメラの選択肢を紹介しながら、写真の撮り方、そして印刷し額装するアイデアまでを、その道の達人たちにうかがいながら紐解き、紹介する。

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林 響太朗 映像作家、写真家●1989年、東京生まれ。多摩美術大学を卒業後、DRAWING AND MANUALに所属。映像、インスタレーション、プロジェクションマッピングなどを手掛け、星野源、Mr.Children、米津玄師など多数のアーティストのMVを監督。

星野源、米津玄師など、数々のアーティストのミュージックビデオを手掛ける気鋭の映像作家、林響太朗。持ち味である独自の色彩感覚と美しい構図は、写真にも遺憾なく発揮されている。

「学生時代から、濱田英明や市橋織江などの写真家の作品を見てきました。デジタルとフィルム、どちらかに重きを置いているわけではないですが、彼らの撮るフィルムの質感が好きで、おこがましいけれど、僕もああいった“自分の色”を出せたらいいなと思っています」

そんな林が撮る写真は、創意工夫に満ちている。建物を生かした美しいフレーミングはもちろん、パリを行く車窓から手ぶれを生かした撮影をすることも。

「カメラやオールドレンズなど、機材もいろいろ試してきましたが、その裏にあるのは、ただ『いいものを撮りたい』という純粋な気持ちなんだと思います」

そういった試行錯誤の内のひとつが、おもにプライベートで使っている「ライカS-E」だ。

「ひと昔前のCCDセンサーが使われていて、ネガっぽい発色が良い味を出すんです。このカメラ以外にもいろいろ使いますが、機材に捕らわれず、自分のスタイルを模索し続けることが、“自分の色”なのかもしれません」

林が愛用するカメラ
ライカS-E(タイプ006)

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2014年に登場した「ライカS-E」は、3,750万画素のCDDセンサーを搭載した中判カメラ。当時の定価で約230万円。プロ向けの業務機として発売された。撮影時に装着していたレンズは「SEKOR C 80mm F1.9」。

林が撮影した写真

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移動中のクルマから街を撮るという林。ブレにより、パリの街がまるでアートのように。
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こちらも車中から。人、木、建物の要素が破綻しない絶妙なブレ加減は、偶然撮れた。
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旅行先で訪れた屋上にて撮影。建物の構造を活かした構図が美しい。
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一本一本のまつげ、瞳のなかの光彩まで繊細に映し出す、中判らしい描写力。

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