ほかの虫の死骸を身につける新種のイモムシにネット騒然…「羽や足の一部やクモが脱皮した皮をまとう」

  • 文:Rikako Takahashi
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photo:shutterstock/Nita Limo※写真はイメージです

米ハワイで、新種のイモムシが発見された。サイエンス誌に掲載された論文によると、非常に珍しい“肉食”のイモムシであるだけでなく、ほかの虫の死骸を身につけるという一風変わった習性があるという。

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オアフ島の山脈にのみ生息

「ボーン・コレクター」と愛称がついた新種のイモムシは、Hyposmocoma属のガの幼虫。ハワイ固有種で、オアフ島の一部の山脈にしか生息していない。

ハワイ大学マノア校の昆虫学者ダニエル・ルビノフ氏は2008年、初めてボーン・コレクターに遭遇する。以来チームで研究を重ね、今回正式に新種と認定された。虫の死骸の “収集癖” も、数個体による特異な行動ではなく、種全体に共通すると明らかになった。

ボーン・コレクターの実際の写真も公開された。ミノムシのように、ほかの虫の亡骸を身にまとっている。といっても、虫の死骸全体ではなく、羽や足などの一部や、クモが脱皮した皮を思い思いに組み合わせている。

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なぜ死骸をまとう?

ボーン・コレクターが虫の死骸を身につけるのは、一種のカモフラージュ行為。ボーン・コレクターの成虫は、外来種のクモの巣に卵を産みつける。生まれた幼虫は、クモが捕らえて食べた虫の “おこぼれ” をもらいながら成長する。いわばハイエナのような生活だ。しかしボーン・コレクターもクモの捕食対象であるため、クモに見つからないよう死骸やクモの皮をまとうという。

研究チームがボーン・コレクターの遺伝子を調査した結果、500万年以上前にほかの肉食性のHyposmocoma属から分岐した可能性が高いと判明した。今日ボーン・コレクターが生息しているオアフ島が海底から出現したのは、約300万年。それより前から種が生存しているということは、かつて他の島に分布していたと考えられる。

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希少な在来種、生存の危機

現在確認されている分布域が非常に限られている上、ハワイに外来種が持ち込まれたことにより、ボーン・コレクターは種の存続危機にあるとチームは警鐘を鳴らす。

ボーン・コレクターはHyposmocoma属の「最後の砦」だとルビノフ氏は述べた。

「森林保護区のほとんどが、外来種で占められています。森林保護区は実際、生物学的には砂漠のような状態です。昆虫は世界中から集められたもの、鳥もすべてほかの場所から来たものです」

「ハワイの在来種が生き残れないような環境になっています」

「ボーン・コレクターがなんとか生存しているのは奇跡です。この種を救うため、私たちはもっと努力しなければなりません」

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