昨年夏に、全世界を夢中にさせたネットフリックスのリアリティシリーズ『ボーイフレンド』。男性が恋愛対象の「ボーイズ」が織りなす恋と友情がドキュメントされた本作は、配信開始から瞬く間に日本のネットフリックス週間トップ10に6週連続でランクイン。出演したボーイズたちは各分野でさらなる活躍を続け、社会現象として「ボーイフレンド・ロス」も起きていたなか、なんと昨年末に『ボーイフレンド』シーズン2の制作が発表された。
世界を虜にした本作の魅力は、恋愛模様への共感だけではなく、同性婚が未だ認められていない日本から男性同士の恋愛リアリティシリーズが初めて配信された意義にもある。そのキャスティングを一手に担ったのがTaiki。本作で初めて映像作品のプロデューサーを務めた。
「ネットフリックスのエグゼクティブプロデューサーの太田さんと以前から男性同士のリアリティショーをつくりたいと話してきました。企画が通ってからは、共同テレビのチームとともに一気に動き出し、実現できました。撮影は1カ月半でしたが、準備が入念でした。特にこだわったのは、キャスティング。ときにはメンタルケアの専門家も交え、ひとりに対して何度も面談を重ねました。出演する誰もが愛される主人公であってほしかったですし、これまでイメージされてきた『ゲイ』へのステレオタイプに縛られず、ボーイズがありのままでいられるようなバランスでキャスティングも環境も考えました。いま振り返っても奇跡の9人だったと思います」

ネットフリックスでの成功は大きな節目になったが、Taikiにとって最初の大きなターニングポイントは20歳の時だった。
「両親にカミングアウトしたんです。そこからもっと自分らしく生きられるようになって、家族からの応援を励みにトップモデルを目指す決心がつきました。言葉もできないのに海外に飛び込んでいったり、向こうでほぼ無一文になったりしても、『自分の軸さえあれば、なんとかなる』とポジティブに前進してこられました。心の支えは、いつも家族でした」
モデルを始めて4年ほどで憧れだったパリコレにデビュー。ミラノ、ニューヨーク、ロンドンなど世界のファッションシーンで活躍するまでになった。そんななか、第二のターニングポイントが訪れる。パートナーである韓国人のノアとの出会い、そして事務所「オフィスブリエ」の創立だ。
「オフィスブリエを立ち上げたきっかけは、ノアのビザを自分で確保したかったから。同性婚が実現しない限り、なにかあった時に彼を守ることができないと気づいたんです。そんな想いで事務所を立ち上げたものの、すぐにコロナ禍に。人生プランでは40歳頃に次世代に向けてマネジメントを始めようと考えていましたが、中国で俳優として活躍する後輩が帰国できなくなり、急遽彼のサポートをすることになって、マネジメント業を早く始めることになりました」
会社名にあるフランス語「ブリエ」は、日本語で「輝く」という意味。所属するモデル、タレント、クリエイターたちはみんなから愛されて、自身も周りに愛を分け与えて輝く存在になってほしい、という想いを込めた。
Taikiはモデルとして活躍する一方、会社の代表としてみんながいかに輝けるかを必死で考え、ときには自身の体験談を交えながら、それぞれの個性を尊重したマネジメントに向き合っている。「将来やりたいことはたくさんある」というが、もはやそれは私利私欲を超えたところにある。
「事務所に所属している方々やスタッフにどんどん活躍してほしいんです。輝きが連鎖して、気持ちのいいコミュニティができれば、それが社会にいい影響を与え、貢献できることが増えるんじゃないかなと」。見据える目標は常に高く。今後どんな新風を吹き込んでくれるのか、楽しみだ。


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PICK UP

『ボーイフレンド』 ネットフリックス・リアリティシリーズ『ボーイフレンド』は、シーズン1独占配信中。9名の男性たちが共同生活をしながら、恋や友情を育んでいく。 シーズン2も制作決定。
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PERSONAL QUESTIONS
いま気になっている人は?
動画配信クリエイターのしなこさん。「ベビタピトーキョー」の人気から知りましたが、かわいくて楽しい世界観の中で、「常に自分らしく」とメッセージを発しているのが印象的です。
部活は何部だった?
小学校から大学生までアイスホッケー部でした。自分のセクシャリティと「男らしさ」への葛藤の反動で選んだのだと思います。ポジティブな精神はここで鍛えられたのかもしれない。
10年前の自分に言いたいことは?
所属モデルの新人たちにも伝えていますが、自分の軸と強さを大事に信じること。それ以外にも昔の自分だったらこうすればよかったと思う体験談はできるだけ教えるようにしてます。
尊敬する人は?
両親です。彼らからの応援があるからいつでも前向きでいられます。モデルとしては上田太輔さんを尊敬していて、その影響でパリのランウェイを目指しました。

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