
メキシコ人アーティストが、巨大な石像でテスラを潰す作品を発表した。同社の創業者イーロン・マスク氏や、現代社会の企業化を痛烈に風刺している。
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テスラは「技術と欲望の象徴」
彫刻家のチャビス・マルモル氏(42)は3月11日、目を引く写真をInstagramに投稿した。高級電気自動車として知られるテスラの上に、巨大な頭部の石像がずしんと乗っている。テスラのルーフやフロントガラスは、文字通りペしゃんこだ。
石像は、オルメカ文明を象徴する巨石人頭像を模している。オルメカ文明とは、紀元前1500年頃、先古典期のメソアメリカ、特にメキシコ湾岸地方で栄えた文明だ。歴史的に突然出現しており、新大陸(アメリカ大陸)ではもっとも初期の古代文明とされている。
作品のタイトルは、見た目通り「Tesla Crushed by an Olmec Head(巨石人頭像に潰されたテスラ)」。マルモル氏によると、石像の重さは9トンあるという。アート関連のニュースを扱うウェブサイトHyperallergicの取材に対し、次のように語った。
「ただ高級車を潰したかったわけではありません。世の中には(テスラより)もっと高価な車があると知っています」
出資元である高級デザインホテルColima 71が公開した動画には、テスラが潰される瞬間が映っている。インタビューでマルモル氏は、テスラは「技術と欲望の象徴」だと語る。
「テスラは結局、資本主義システムの産物に過ぎません。本当に大切なことは、私たちがどこから来たのか、私たちは一体何であるのか、何世代にもわたってどんな存在であってきたのかということです」
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メキシコ北部でテスラ工場の建設、反対の声
マルモル氏がテスラを潰したのには、明確な理由がある。
2023年2月、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領(当時)は、米国との国境沿いに位置するヌエボ・レオン州に、テスラ社の新工場を建設する計画を発表した。同地域が水不足に悩まされていることや、環境破壊などの懸念から反発の声があがっている。実施に遅れが出ているものの、建設はまもなく開始される。
マルモル氏は、メキシコで暮らす多くの人々にとって、電気自動車を購入することが困難な点も指摘。「イーロン・マスクのような不吉な人物を象徴する物体を潰すことが、このプロジェクトの目標です」Hyperallergicに述べた。
「Tesla Crushed by an Olmec Head」は、3作品から成るシリーズの最終作品。マルモル氏はこれまで、ミスター・ポテトヘッドと巨石人頭像を融合させた彫刻や、ウーバーイーツの配達バッグの代わりに巨石人頭像のレプリカを背負って街中を自転車で回るパフォーマンスを発表している。
テスラ社やイーロン・マスクは、「Tesla Crushed by an Olmec Head」についてコメントを発表していない。
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