
アメリカ人の女性インフルエンサーが、オーストラリアでウォンバットの子供を母親から引き離して抱き上げる動画を撮影・投稿し、大炎上している。この一件は地元メディアのみならず、米CNNや英BBCなどでも取り上げられ、世界的な話題となっている。
「赤ちゃんウォンバットを捕まえた」
騒動の中心にいるのは、野外活動家でハンターのサム・ジョーンズ(サマンサ・ストラブル)さん。自身のInstagramに9万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーで、野生生物学者でもあるという。
サムさんは今月、オーストラリアの田舎道でウォンバットの親子と遭遇した時の模様を、「ウォンバットを抱っこするという夢が叶った」というコメント付きでSNSにアップした。この動画には、ウォンバットの子供を抱え上げて走るサムさんと、叫びながら追いかけてくる母親ウォンバットの姿が収められていた。
動画はウォンバットの子を道路脇の草むらに放して終わる。しかし、威嚇の声を発するウォンバットを抱えたサムさんが「赤ちゃんウォンバットを捕まえたわ」と言い放ったり、撮影者の男性が「お母さんを見なよ、追いかけてくる」と追い縋る母親を笑ったりするシーンもあったことから、「野生動物への虐待だ」「ひどい」「残酷な行為」などとたちまち批判が殺到した。現地の動物保護団体も、不適切な接触でウォンバットの親子が命の危険に晒されたと指摘した。
サムさんの動画はメディアでも大きく取り上げられた。3月13日にはオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相も「母親から赤ちゃんを取り上げ、苦痛を与えるなんてとんでもないことだ」とコメント。動物保護法に反したとしてサムさんの強制送還も検討されていたというが、その前にサムさんはオーストラリアを出国した。トニー・バーク内務大臣は「オーストラリアの赤ちゃんウォンバットにとって、こんなに良い日はないでしょう」と発言した。
動画を削除して謝罪するも…
多くの批判を受けたサムさんは動画を削除し、14日には自身のInstagramで謝罪のプレスリリースを発表。ウォンバットの親子が道路上で動いていないように見え、怪我や病気ではないかと心配して抱き上げたのだと動画までの経緯を説明し、母親ウォンバットから逃げたのは襲われるかもしれないと恐れたからで、「危害を加えたり子供を盗んだりする意図はなかった」と釈明した。さらに、「SNSやいいねを獲得するためではなかった」とも述べている。
また、謝罪とともに『Am I a villain?(私は悪者?)』と題した声明も発表している。ウォンバット親子の命を危険に晒したことで数千にもおよぶ殺害予告を受けたと明かした上で、「オーストラリアの現実を理解してほしい」と訴えた。サムさんは、オーストラリア政府がウォンバットやその他の動物を害獣として捕獲・駆除していると述べ、国家の動物福祉を改善すべきだと反論したのだ。
サムさんのSNS投稿はコメントがつけられないようになっているため、フォロワーやユーザーの反応はわからない。しかし、この反論を取り上げた世界各地のニュース記事に対し、「言い訳をするな」「謝罪と見せかけて被害者ぶるな」「野生動物に触るなと学校で習わなかったのか」などと、またしても批判が殺到している。
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問題の動画の一部(本人の動画はすでに削除された)
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米CNNでも取り上げられた
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サム・ジョーンズさん
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サムさんの謝罪投稿