
英ノースヨークシャーのパブで、豪雪により客やスタッフたちが足止めをくらい、店から出られなくなる事態が起きた。
総勢約30人の老若男女が、通行止めが解除されるまでパブで5日過ごし、「ひとつの家族のように」なったと、複数の海外メディアが楽しげな写真と共に報じている。
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雪で帰れなくなり……
1月4日、イギリスで最も標高の高いパブとして有名な「タン・ヒル・イン」には、4歳の子どもを含む客23人とスタッフ6人、犬1匹がいた。その日の夜、大雪と暴風の警報が発動され、街に続く主要道路がすべて閉鎖されてしまった。
こうして帰れなくなった29人と1匹はその後、警報が解除され除雪が完了するまで、パブで5日間を共に過ごすことになる。
たまたま現場にいた英ガーディアン紙の記者によると、タン・ヒル・インは宿泊施設も兼ねており寝床は足りたという。場所柄、冬に外に出られなくなることが多々あるため食料にも特別困らなかったようだ。もちろん、酒にも。
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客たちの楽しげな様子を投稿
パブのマネージャー、ニコール・ヘイズさんはBBCに「1カ月分の備蓄がある」と語る。客たちはゲームをしたり、映画を見たり、歌や踊りを楽しんだり、夜には酒を交わしたりして時間を潰したという。
「皆、連絡先を交換しました。それぞれの人生のストーリーを語り合い、笑い、泣き、すばらしい時間でした」とヘイズさん。
タン・ヒル・インは、暖炉の前でビールを飲んだり、テーブルを囲んでカードゲームに興じたりする客たちの様子をInstagramに投稿した。なかには、雪遊びをするヘイズさんとオーストラリアからの旅行客の自撮り写真も。彼はこの日、人生で初めて雪だるまを作ったそうだ。
タン・ヒル・インは、5日分の滞在料を客たちに請求しなかった。代わりに、山岳救助隊への寄付を募ったという。ヘイズさんは「一生ものの友人と思い出ができました」と振り返った。
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似たような事態は4年前にも
実は、タン・ヒル・インで似たような事態になったのは、今回が初めてではない。
2021年、客61人が豪雪で足止めをくらい、パブで3日過ごした。当時のインタビューで、「4〜5年前にも客が帰れなくなり1晩泊めた」とスタッフは明かしている。
2021年も、客たちは自由な時間を過ごしたようだ。「あまりに楽しかったので、道路の雪が片付いても家に帰りたくないと言う人もいました」とスタッフは語った。
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イギリスのリッチモンドで有名なパブ「タン・ヒル・イン」。
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当時の豪雪の様子。
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客が5日間を過ごす様子。