
アメリカ・サンフランシスコで400頭を超えるオットセイの子どもが集まる壮観な光景が目撃された。海一面に広がるその姿は大きな話題を呼んでいる。「彼らはとても満足そうで、楽しい時間を過ごしているように見えました。見ていてとても楽しかったです」そう語るのは、保護区の管理者であるジェリー・マチェスニーさん。
12月中旬、彼は一度に440頭以上という驚異的な数のオットセイを確認し、その映像が米国魚類野生生物局のインスタグラムで公開された。サンフランシスコ沖、ファラロン諸島国立野生生物保護区の入り江で撮影された映像には、崖の上から広がる海を捉えており、真ん中は黒い大きな塊のようなものが見える。カメラを拡大すると、たくさんのオットセイが集まり泳ぐ姿が確認できる。それでも、マチェスニーさんは「これが最小限の数であり、もっとたくさんいることは間違いない」と話している。
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一度は絶滅した?オットセイの群れ
NEW YORK POST誌によると、ファラロン諸島とサンミゲル島は、アラスカ以南では唯一のオットセイの繁殖地として知られる。
毎年、繁殖期には数百頭のオットセイが集まり、子どもたちは6月から8月に生まれ、通常は11月までこの地域に滞在するそうだ。しかし19世紀初頭、この種は狩りによって個体数は激減。1810年から1838年の間に、なんと15万頭ものが殺されたとマチェスニーさんは推定している。
その後、1911年に北オットセイ条約が成立したことで捕獲が禁止に。さらに1972年には海洋哺乳類保護法が施行され、オットセイの保護が強化された。1996年、150年以上ぶりにオットセイの赤ちゃんが誕生し、その後も個体数は着実に回復してきたという。
さらに昨年には、保護区内で初めてサメから身を守るために入り江に集まる年長のオットセイの子どもたちが発見され、オットセイたちの驚異的な復活を象徴するものとして、より一層注目を集めていた。
今回の件を受けてマチェスニーさんは「この光景がオットセイの個体数回復の証だと知ると、ますますその意義が深く感じられる」と感激している。また、オットセイの子どもはサメに襲われる危険を認識しており、動画に映る入り江は、彼らが安全に遊んだり泳いだりできる貴重な避難場所なのだという。
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