
米プロアメリカンフットボールリーグ、NFLの試合に、スキンヘッドのチアリーダーが登場した。彼女は子どものころから脱毛症と闘っており、啓発運動のため、初めてウィッグを着用しない姿でフィールドに立った。
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チア界の頂点「アメリカの恋人」
12月9日に行われたダラス・カウボーイズ対シンシナティ・ベンガルズの試合で、ダラス・カウボーイズ・チアリーダーズ(DCC)がパフォーマンスを披露した。同チームのチアリーダーたちは「アメリカの恋人」と呼ばれ、チア界を代表する存在だ。
同日の試合では、チアリーダーが主体となってさまざまな問題やメッセージを伝えるイベント「My Cause My Boots」が開催された。パフォーマンスの中心にいたのは、アルマーニ・ラティマーさんだ。
米ウィメンズ・ヘルス誌によると、ラティマーさんは11歳のころ髪が抜けはじめ、12歳で円形脱毛症と診断されたという。当初は部分的に髪が抜ける程度だったが、高校、大学と進学するうちに症状が進行し、DCCのオーディションを受けてから過酷な試験とストレスで「髪が完全に抜け落ちた」と明かした。これまで病気について非公開にしていたわけではなかったが、ウィッグをつけて活動していた。
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堂々のパフォーマンスに「外見も中身も美しい!」
ダラス・カウボーイズとラティマーさんは、連名で9日のパフォーマンスの様子をSNSに投稿した。涙を浮かべるラティマーさんを、「あなたの行動を誇りに思う。幼い女の子たちを代表している」と、ほかのチアリーダーが励ます。ラティマーさんは堂々とフィールドに登場し、ありのままの姿で、笑顔で踊った。
投稿には、ラティマーさんを称賛するコメントが多数寄せられた。
「外見も中身も美しい!」
「とても美しくて勇敢! たくさんの人に影響を与えているはず」
「私はがんサバイバーです。その頭に自信を持って! すごくかっこいい」
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脱毛症は「私に個性を与える」
ウィッグなしで踊った経緯について、ラティマーさんは「脱毛症は私を定義するものではなく、私に新たな個性を与えるもの」だと受け入れたからだと同誌に語る。
「私は被害者ではないと気づきました。脱毛症は、世界中の多くの男女に影響を及ぼしています。その人たちが自分自身について否定的な考えを持ってしまうような状況を作るのではなく、この病気に対する認識を高めるために、声をあげたいと思いました」
もちろん、その決断にいたるまでの道のりは困難った。
「私が越えなければならなかった最大の壁は、自分自身に正直になることでした。(中略)人々はチアリーダーを見て、完璧だと思い込みます。明らかに事実とは異なりますが、私自身も、チームに所属するためには完璧でいなければという考えを捨てられませんでした」
だが、チームと家族のサポートのおかげで「ポジティブな思考を維持できた」と振り返る。
「人はひとりで生きていません。仲間がいなければ、壁を打ち破って今の自分にはなれませんでした」