細野の音楽は時代を超えて聴かれ続け、多くのミュージシャンにいまも影響を与えている。幾度もライブで共演してきたくくくのふたりも、細野の音楽から多大な影響を受けたという。そんな彼女たちがステージで気づいた細野の意外な一面とは?
音楽の地平を切り拓いてきた細野晴臣は、2024年に活動55周年を迎えた。ミュージシャンやクリエイターとの共作、共演、プロデュースといったこれまでの細野晴臣のコラボレーションに着目。さらに細野自身の独占インタビュー、菅田将暉とのスペシャル対談も収録。本人、そして影響を与え合った人々によって紡がれる言葉から、音楽の巨人の足跡をたどり、常に時代を刺激するクリエイションの核心に迫ろう。
『細野晴臣と仲間たち』
Pen 2024年1月号 ¥990(税込)
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右:原田郁子(はらだ・いくこ)●ミュージシャン 1975年、福岡県生まれ。95年、ミトと伊藤大助と3ピースバンドのクラムボンを結成。おもに歌と鍵盤を担当。2024年には、谷川俊太郎との共作曲「いまここ」や、ソロアルバム『いま』をリリース。角銅とはくくくというユニット名で活動。
共演して感じたのは、さりげない優しさと静かな世界
音楽ユニットのくくくとして、7月にバリ島で行われた野外フェス『NTS ワン・デイ・バリ』で細野と共演した原田郁子と角銅真実。ふたりは『HOSONO HOUSE COVERS』にも「CHOOCHOO ガタゴト」で参加している。それぞれに細野作品の原体験を聞くと、原田は幼少期に触れたヒット曲を挙げてくれた。
「細野さんの曲だと認識していませんでしたが、テレビで観た(松田)聖子ちゃんの『ガラスの林檎』かな。『眼を閉じてあなたの腕の中』のところで、聖子ちゃんが自分を抱きしめるような手振りをして、誰かを好きになると、ほんとにこの腕の中に入れるんだと思ってた(笑)」
角銅が初めて聴き込んだのは、美容室で流れていた『HoSoNoVa』だったと話す。
「まず声に惹かれ、アルバムを聴いているうちにアレンジの凄さも知りました。それからは、細野さんの曲をたくさんのアーティストがカバーしている『細野晴臣 STRANGE SONG BOOKTributeto Haruomi Hosono』をガイドに、いろいろな曲を知るようになって」
そしてふたりは『NTS ワン・デイ・バリ』に細野のバンドメンバーとして参加。角銅はステージで気付いた、細野のある一面を明かしてくれた。
「細野さんって、メンバーの目を見て演奏してくれるんですよ。ステージ上の全員に歩幅を合わせながら、一緒に音や時間をつくろうとしてくれているんだなと感じました」
原田が思う細野の人物像も興味深い。
「細野さんには、静けさがある。存在の奥のほうにすごく静かな世界があるように感じるんですよね。その世界とあの声や音楽はつながっている気がします。あと、不思議なのですが、細野さんのラジオ番組に出演して3人で話している時、ステージにいる時、ふっと眠たくなってしまうことがあります(笑)」
Column:角銅真実が選ぶ、細野晴臣の3songs
「ローズマリー、ティートゥリー」(収録:『HoSoNoVa』)
美容室で流れていてビビッときて、細野さんの作品を聴くようになったきっかけの曲。歌詞も好きですね
「プリオシーヌ」(収録:『オムニ・サイト・シーイング』)
初めて聴いた時に新鮮で、シンセミュージックを好きになるきっかけに。ジャケットも素敵
「ファム・ファタール~妖婦」(収録:『はらいそ』)
格好いい。はっぴいえんどや『HoSoNoVa』を聴き慣れていたので、『こんな声の時代もあったんだ』と驚きました
Column:原田郁子が選ぶ、細野晴臣の3songs
「エンド・テーマ」(収録:『銀河鉄道の夜』)
音が物語の中へ連れて行ってくれる感じがします。おばあちゃんになっても爆音で聴いていたい曲です
「四面道歌」(収録:『はらいそ』)
こないだユザーンと初めてこの曲をカバーしました。リズムとリズムの間に見たことのない風景が広がってる
「AIWOIWAIAOU」(収録:『メディスン・コンピレーション』)
細野さん&シャッポ&くくくで演奏しました。踊りたくなる、プリミティブな響き
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