
「しょうゆ顔・ソース顔」、「肉食系・草食系」など、男性の評価軸は時代とともに移り変わってきた。Z世代の新たな価値観がメジャーになりつつある今、欧米では「ローデント・マン(Rodent Man)」なる概念が注目されている。
ローデント・マンとは?
「ローデント」とは直訳すると「げっ歯類」、つまりネズミやリス、モルモット、ビーバーなどを意味している。BBCによれば、ローデント・マンと言われる男性たちには、「とがった顔の造作、大きめの鼻、髪はクシャッとしがち」などの共通の特徴がある。またDazedでは、「筋肉質というよりスラリとしている」「一般的な意味ではハンサムではないことが多い」ともしている。
具体的には、映画『デューン』や『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のティモシー・シャラメ、『スター・ウォーズ』シリーズでカイロ・レンを演じたアダム・ドライバー、『スパイダーマン』シリーズのトム・ホランドなどが例として挙げられる。「ローデント・マン」の概念が生まれたきっかけは、映画『チャレンジャーズ』の共演者、マイク・ファイストとジョシュ・オコナーがそれぞれネズミっぽい、というネット民の指摘だった。
ローデントとは「げっ歯類」全体を指す言葉なので、「ローデント・マン」と呼ばれる人々の容貌にもかなり幅があり、他にもジェレミー・アレン・ホワイト、シム・リウ、大御所からはダスティン・ホフマンやウィレム・デフォーといった名前も上がっている。
さらにDazedいわく、「ローデント・マン」には「有害な男らしさへのアンチテーゼ」としての意味合いもあり、配慮のある姿勢、独特だが温かい人柄、などのイメージも含まれている。たとえばティモシー・シャラメは、ステラ・マッカートニーなどサステナブルで知られるブランドを積極的に着用することで知られている。トム・ホランドは交際相手のゼンデイヤの写真を折りに触れ自身のInstagram にポストし、微笑ましく受け止められている。
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なぜ今、ネズミなのか
そんなネズミ系男子たちは、2024年の今なぜモテているのだろうか。Z世代を研究するメガン・M・グレース氏はBBCの記事で「かつては白人のハイスクールの運動部員のようなステレオタイプがあったが、今は見た目が良く、なおかつ繊細で傷つきやすく、モラルがあり、オーセンティックな(信頼できる)人柄の人物が注目されている」とコメントしている。情報があらゆる角度から検証される現代において、顔も体もスタイリングもスキのない旧来型イケメン像は、嘘っぽく感じられてしまうのだろう。
一方New York Timesでは、SNSの画像フィルターやAIへの反発も一因ではないかとし、「フェイクの完ぺきさを与えられると、人間的な不完全さを求めるようになる」と指摘している。また、完ぺきな容姿や肉体よりもネズミ顔の男性のほうが「女性が安心感を感じられるからでは」という声もある。
ありのままを受け止めるきっかけに?
このようにさまざまな容姿・特徴を持つ人たちが、ネズミ男と呼ばれているようだ。もしかしたら自分、または自分の身近な誰かも、ネズミ系では?と思った人もいるだろう。前出のNew York Timesの記事では、もはやローデントが乱用されすぎだと指摘し、ティモシー・シャラメはネコでは?などとしている。
「ローデント・マン」は定義が緩やかであるうえに、そもそも褒め言葉と言えるのかどうかも議論の余地がある。だが、誰もが持つ不完全さを受け止めるこの言葉は、男性が自身のありのままの魅力に気づくきっかけにはなれる、のかもしれない。
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— Francesca Fedele🇵🇸 (@peacchip) May 8, 2024
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