恐竜はなぜ巨大化したのか?

  • 文:土屋 香
  • イラスト:ケータ、服部雅人 
  • 監修:土屋 健(オフィス ジオパレオント)
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そもそも、恐竜とはどのような生き物だったのか? 特集を読み進めていく前段階として、その概要を改めて解説しよう。恐竜をめぐる基礎知識から、深く理解するためのキーワードまでをまとめた。今回は、恐竜が地球史上最大の陸生生物になった「巨大化」について。

Pen最新号は『恐竜、再発見』。子どもの頃に図鑑や映画を通して、恐竜に夢中になった人も多いだろう。本特集では、古生物学のトップランナーたちに話を訊くとともに、カナダの世界最高峰の恐竜博物館への取材も敢行。大人になったいまだからこそ、気付くことや見える景色もある。さあ再び、驚きに満ちた、恐竜の世界の扉を開けてみよう。

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生き抜くために……恐竜たちの生存戦略

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恐竜類といえば、まず「大きい」というイメージが強いかもしれない。全長13mのティラノサウルスや全長35mのマメンチサウルスなど、確かに現代では考えられないほど巨大な恐竜はたくさんいた。

しかし出現当初から恐竜類はこれほど大きかったわけではない。最古の恐竜類は、エオラプトルなど、アルゼンチンの約2億3000万年前の地層から発見された恐竜たちだ。大きいものでも全長6m、ほとんどは全長2m以下と、小型の恐竜が多数であった(上に示す3体は実際の比率で並べたものだ。レッセムサウルスやマメンチサウルスに比べ、画面下のエオラプトルがいかに小さかったかがよくわかる)。

ジュラ紀以降、全長10mを超える恐竜がいくつも出現した。なかには全長30mを超える超大型種まで登場するようになった。

巨大化が顕著に現れたのが竜脚形類(特に竜脚類)である。20m超、30m超にまで大きくなったのは竜脚類だけだ。なぜこれほど大きくなったのだろうか?

巨大であればあるほど、捕食者から襲われにくくなる。そして大きくなるほどたくさん食べなければいけない。たくさんの植物を消化するためには、それだけ長い腸が必要になる。こうしてさらに大きくなっていったのだ。

一方、同じ植物食恐竜である鳥盤類は竜脚類ほど大きくならなかった。彼らは捕食者から身を守るために角やトゲなどで武装していた。竜脚類とは異なる生存戦略を取っていたのである。

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レッセムサウルス
全長:18m
時代:三畳紀後期

エオラプトルよりも少し後の時代のアルゼンチンに生きていた竜脚形類。当時では最大級の恐竜だった。後の竜脚類と同じように首が長く、四足歩行だったと考えられている。ただし、後の竜脚類と比べると、首は短めだったようだ。竜脚類以外の竜脚形類に見られる特徴と竜脚類に見られる特徴の両方を持っていた。
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マメンチサウルス
全長:35m
時代:ジュラ紀後期

ジュラ紀後期の中国に生きていた竜脚類。首が特に長く、全長の約半分を占めていた。全長は20m超、最大で35mに達したと考えられている。このサイズは、竜脚類のみならず陸上動物全体でも最大級だ。体重は最大で75tと推測されている。足跡の深さは2mに達し、“天然の落とし穴”になることもあったようだ。
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エオラプトル
全長:1m
時代:三畳紀後期

三畳紀後期のアルゼンチンに生息していた最古の竜脚形類の一種。体つきは華奢で二足歩行。その姿から、発見当初は獣脚類と思われていたが、2000年代の研究により見解が変わった。肉食仕様とみられるタイプと植物食仕様とみられるタイプの2種類の歯が生えていた。そのため、雑食だったと考えられている。
 

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