恐竜と言えば福井県! 日本屈指の博物館は、迫力満点の展示がいっぱい

  • 写真:齋藤誠一
  • 編集&文:井上倫子
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日本屈指の恐竜の展示で知られる、福井県立恐竜博物館。そもそも福井からなぜ多くの化石が発見されたのだろうか?その発掘の歴史とともに、博物館の見どころを紹介する。

Pen最新号は『恐竜、再発見』。子どもの頃に図鑑や映画を通して、恐竜に夢中になった人も多いだろう。本特集では、古生物学のトップランナーたちに話を訊くとともに、カナダの世界最高峰の恐竜博物館への取材も敢行。大人になったいまだからこそ、気付くことや見える景色もある。さあ再び、驚きに満ちた、恐竜の世界の扉を開けてみよう。

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『ジュラシック・パーク』を彷彿させる、ティラノサウルスがお目見え

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博物館の開館は2000年。1階の常設展示室の中央にあるティラノサウルスは、目など細かい表情にまでこだわっている。目が合えば思わず逃げ出したくなるほどの迫力だ。

2023年7月、福井県立恐竜博物館がリニューアルオープンした。開館から8カ月で約84万人が訪れるほどの賑わいを見せている。世界三大恐竜博物館のひとつと称され、展示室の全身骨格標本は50体と国内最大級の博物館だ。

建物の設計は国立新美術館の設計でも知られる黒川紀章。エントランスを抜けると、4層にわたる大空間の吹き抜けをエスカレーターで下っていく。まるで恐竜たちが眠る地層へと向かうような演出に期待感が高まる。

エスカレーターを下りダイノストリートを抜けると、1階のドーム状の大空間には恐竜の世界が広がる。その中央には動くティラノサウルスがお目見え。『ジュラシック・パーク』を思い出させるようなリアルな動きに、思わずドキッとさせられる。同じ空間には全身骨格標本が並び、なかには実物の化石でできた標本も10体ある。今回のリニューアルでは、近くでも離れて見ても楽しめるよう、数㎝単位で位置が調整された。

福井県立恐竜博物館はカナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館や中国の自貢恐竜博物館と姉妹提携をしており、他にも世界各地の博物館の標本が展示されている。化石だけでなく復元模型も展示され、親子揃って楽しめるが、やはりここで見ておきたいのは福井で発見された恐竜の化石だ。

日本で発見され新種と認められた恐竜は全部で11種。そのうちの6種が福井県で発掘されていることから、福井は恐竜県と言われるようになった。そもそもなぜ福井から多くの恐竜化石が見つかっているのだろうか。

福井での発掘は、1982年に博物館のある勝山市でワニの化石が見つかったことから始まる。85年には北陸に広がる手取層群から大型獣脚類の歯が発見された。父親と一緒に発掘に参加した女の子が見つけ、それを従姉妹が自由研究のために博物館に持ち込み、恐竜の歯であることが判明した。これがきっかけとなり、88年に予備調査が始まった。当時は日本から恐竜の化石が発見された事例は少なく、国際的に日本の恐竜はほとんど知られていない状況だった。以降、4期にわたり現在まで調査が続けられている。

手取層群はジュラ紀後期から白亜紀前期の地層。当時はアジア大陸と地続きで恐竜を頂点とした豊かな生態系があったと言われている。この地層が露出しており、継続的に発掘が行われたことが恐竜県となったゆえんだ。

福井の恐竜は、1階の展示室だけでなく新館の吹き抜けでも見ることができるシンボルモニュメントだ。さらにこの夏は、ロイヤル・ティレル古生物学博物館から「ブラックビューティ」の実物頭骨も特別に展示される。ぜひ訪れたい。

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常設展示室にはティラノサウルスを中心に向かって左側に竜盤類、右側に鳥盤類が展示されている。奥には中国の四川省を再現したエリアも。
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リニューアルで新設された新館の吹き抜けには、福井で発見された5種の恐竜と1種の鳥類からなる高さ約13mの「恐竜の塔」がある。エスカレーターと一体となったデザインだ。
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福井で見つかったフクイサウルス・テトリエンシスとフクイラプトル・キタダニエンシスの標本。
04_22A0340.jpg1982年に発見されたワニの骨格標本。近年の調査で恐竜時代に生息したゴニオフォリス科であることがわかった。

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生まれ変わった博物館、ここに注目!

発見時の状態がわかる、化石の複製

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常設展示室に向かう途中にあるカマラサウルス産状化石の実物大標本。

写真のようにほぼすべての化石が揃った状態のものがアメリカのボーンヘッドと呼ばれる地層から発見され、頭部と尾が反り上がった、いわゆる“海老反り”状態になっていた貴重な標本。

エスカレーターから見る、博物館の裏側

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新館で注目したいのが「見える収蔵庫」。

常設展示などを見た最後に向かう場所で、エスカレーターを下っていくとガラス越しに収蔵庫に眠る復元模型や標本を見ることができる。博物館の裏側をのぞくような珍しい体験とともに、博物館のまた新たな一面を知ることができる。

恐竜が生きた時代に、タイムスリップ

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中国の四川省自貢市からは大量の恐竜化石が発掘されている。

中生代中期からジュラ期後期にはシュノサウルスをはじめとする多様な恐竜が暮らし、豊かな森林が広がる場所だった。ここではその様子が動く恐竜とともに再現され、大人も感動するほどにリアルな展示だ。

体験から学ぶ、化石の研究

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ティラノサウルス・レックス頭骨の復元、化石の発掘、クリーニング、CTスキャンを使った観察といった、化石の研究で欠かすことができない4つのプロセスを時期に応じて体験できるエリア。小学生以上が対象で、海外から訪れる人もいるほど人気のプログラムだ。

福井県立恐竜博物館

住所:福井県勝山市村岡町寺尾51-11
TEL:0779-88-0001
営業時間:9時〜17時 ※7/20〜8/18は8時30分〜18時まで、入館は閉館の30分前まで
休館日:第2・4水(祝日の場合は開館・翌木曜休、夏休み期間は無休)、12/31、1/1、展示替え期間 ※臨時休館あり
料金:一般¥1,000 ※要予約
www.dinosaur.pref.fukui.jp

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