ワシントンの駅前に"巨大な子宮内避妊具”が出現!ネットでは「これぞ真の自由の女神像」と大絶賛?

  • 文:Takahashi Rikako
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shutterstock_2253476977 (1).jpgIUD.経験豊富な婦人科医が女性の患者に子宮内避妊器具またはコイルを示し、コンサルテーション中に妊娠を予防するPhoto:Peakstock/Shutterstock※画像はイメージです。

米ワシントンD.C.のユニオン駅の前に、全長約6メートルに及ぶ巨大な子宮内避妊具(IUD)のバルーンオブジェが現れた。

女性の権利を守るため全米で活動している団体「Americans for Contraception(AFC)」が「The Right to Contraception Act(避妊の権利に関する法)」の上院採決を後押しするために設置したものだ。

「The Right to Contraception Act」が成立すれば、避妊用の低容量ピルやコンドームを使用する、IUDやパイプカットなどの手術を受けるといった避妊の権利が成文化・保護される。

ところが6月6日の上院議会は、「法案は民主党の政治的演出に過ぎない」とした共和党の支持を得られず、採決に必要な60票に届かず終わった。

IUDとは?

IUDは「避妊リング」とも呼ばれる。小さなT字型のものが一般的で、子宮内に挿入して使用する。

銅がついているタイプ、ホルモン剤を放出するタイプなど種類によって変わるが、3年から最長12年間の避妊効果がある。

IUDを入れ続ける必要はなく、妊娠を望むタイミングで取り外す人もいる。

IUDの挿入・抜去は医療従事者が行う。 アメリカではIUDの人気が年々高まっており、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、避妊を望む15~49歳女性の10.4%がIUDを使用しているという。

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ネットでは大喜利に

IUDの巨大バルーン出現に対し、ネットでは様々な反応があった。

「我が国が直面している本当の問題がこれだというのか?」と厳しい反応を見せる保守派の上院議員もいたものの、大半は法案の可決を望む人々による好意的なコメントだ。

Xには、「これぞ真のStatue of Liberty(自由の女神像)だ」という投稿に続き、「IUDは地下に入れないと!」「この下でキスしたらどうなるんだ」「これは崇拝すべき、『2001年宇宙の旅』のモノリスみたいに」など、ウィットに富んだ反応がSNSで拡散された。

中には「その頃、共和党の議員たちはこれが何か分からなかったという…」と、皮肉を込めて投稿する人もいた。

AFC広報のクリス・フレミング氏によると、IUDのオブジェは今後「予備選挙中で重要な州や地域を巡る」という。ユニオン駅からは撤去されたが、早速フロリダ州ラスベガスに登場している。

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「リプロダクティブ・ライツ」で割れるアメリカ

今年11月に大統領選挙を控えているアメリカでは、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)」が大きな争点となっている。

1973年、最高裁による「ロー対ウェイド判決」により、長年「中絶は憲法で認められた女性の権利」とされてきたが、2022年にこの判決が覆り、連邦法で認められていた人工妊娠中絶の権利が保障されなくなった。

保守派6人、リベラル派3人の判事で構成されている最高裁は、妊娠15週以降の中絶を禁止するミシシッピー州法を違憲とする同州のクリニックの訴えについて、6対3で「違憲ではない」と判決を下した。

中絶擁護派の「プロ・チョイス」は、身体にまつわる選択の自由を尊重し、中絶反対派の「プロ・ライフ」は、胎児の命はいかなる場合でも守られるべきだと主張。両者は激しく対立している。

民主党のジョー・バイデン大統領は中絶擁護派で、共和党のドナルド・トランプ前大統領は中絶禁止を支持する旨を示唆していたが、最近になり「(中絶の是非は)各州で決めるべき」と、連邦法による中絶禁止は支持しない方針に変更した。中絶禁止の推進は、共和党の敗戦の要因になりうると警戒している。

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