
南半球に位置するオーストラリアは、6月21日に冬至を迎えた。タスマニア州ホバートでは、毎年恒例となっている「ヌード寒中水泳」イベントが開催され、過去最高の約3000人が裸で冷たい海に突進した。
同イベントは、タスマニア最大のカルチャーフェス「Dark Mofo(ダークモフォ)」の一環として2013年から開催されている。地元ウェブメディアパルス・タスマニアによると、初年度は300人ほどの規模だったが、今ではすっかりタスマニアで人気の重要なイベントとなっているという。
参加者はビーチで待機し、冬至の日の出を合図に服を脱ぐ。今年は7時42分、気温7℃の中、水温12℃の海へ飛び込んだ。
---fadeinPager---
タスマニア島で行われるダークモフォとは?
ダークモフォは毎年6月中旬、冬至周辺で10日から2週間ほどかけて開催されるカルチャーフェス。
ホバートにあるMONA美術館(Museum of Old and New Art)への集客のため、同館のオーナー、デイビッド・ウォルシュが、クリエイティブディレクターのリー・カーマイケル他と2013年に立ち上げた。
音楽ライブやインスタレーション展示などのアートイベントに加え、さまざまな飲食店も出店する。
その名の通り、ダークでゴシックな世界観が共通テーマだ。展示や会場の演出は黒や赤を基調にしており、十字架、骸骨、架空の生物などのモチーフがしばしば登場する。
観光客が夏に集中しがちなオーストラリアで、冬に足を運ばせる人気イベントへと成長した。予算の都合上、今年は規模を縮小して6月13日から23日までの開催となったが、英ガーディアン紙によるとタスマニア州は今後3年で750万豪ドル(約8億円)を同イベントに出資する。
2025年は、フル稼働の大規模開催が予定されている。
---fadeinPager---
「あと何年生きられるか分からないから…」
参加の動機は人それぞれ。ローレンス・ワッツさんは、脳腫瘍の診断を受け「あと何年生きられるか分からないから、この人たちに加わろうと思った」と豪ABCニュースに明かした。
地元出身の95歳、マーガレット・クローガーさんは、ヌード寒中水泳イベントが始まって以来、毎年故郷に戻って参加しているという。
「元気が出るし、毎日できるようなことじゃありませんから。定期的に泳いでいますが、海水浴客がいないとまた一味違います」と、クローガーさんと一緒にイベントに臨んでいる友人のピップ・スワンさんは語った。
「ヌード寒中水泳」イベント。『皮を捨てられない蛇は死ななければならない』はニーチェの言葉。
---fadeinPager---
イベントは、朝の7時42分、気温7℃の中、開催された。
---fadeinPager---
2023年のダークモフォの様子。
---fadeinPager---