TikTokにアップした歌唱動画が話題となってメジャーデビュー。 驚くべきスピードでグローバルヒット曲まで生み出した Z世代を代表するアーティスト、imaseの時代の歩み方とは。 

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音楽活動を始めてわずか3年。その間、TikTokをきっかけにデビューをつかみ、代表曲「NIGHT DANCER」は韓国の大手配信サイト「Melon」でJポップ史上初のトップ20入りするなど、国内外でも一躍時代の寵児となったimase。SNSによって人生が変わり、世界が広がった、まさに新時代を生きるアーティストだ。激動の3年間について、「目まぐるしいという言葉がいちばんぴったり」と口にした。

「新しいことに挑戦し続けた３年間でした。ライブをやるようになったり、歌唱のバリエーションが増えたり、楽曲の幅が増えたり。できることが増えていくことで音楽活動がどんどん楽しくなっていきました。１年ほど前に岐阜の実家から上京し、環境は大きく変わりましたが、曲をつくることが好きという部分は変わらないです」

3年間の成長が詰まっているのが全19曲にもおよぶファーストアルバム『凡才』だ。幅広い楽曲を聴く、好奇心あふれるリスナーでもあるimaseが制作する楽曲には、その時々の個人的なブームがダイレクトに反映される。その柔軟性もまた強みだ。

「デビュー曲の『Have a nice day』からつい最近の曲までが収録されていて歴史を感じます。『Have a nice day』や『Nagisa』は80年代のシティポップにハマっていた時につくった曲ですが、当時の自分の嗜好がもろに出ていますね。最新の音楽の趣味が特に反映されているのが『Rainy Driver』。最近は2ステップやＵＫガラージの曲をよく聴いて、自分なりにそのアプローチでつくってみました。ガットギターのボサノバっぽい進行も自分的には挑戦です。いまいちばん好きな曲ですし、時流にも沿ってつくりました」

SNSを駆使して、“凡才”でもメジャーデビュー 

2000年生まれのimaseにとって、CDアルバムは決して身近な存在ではない。

「アルバムを買ったことはほぼないですね。いざ自分でつくってみることになった時に、アルバムを聴くという行為は音楽に没入できる体験だと感じました。それに、自分がつくった曲がCDというかたちで残るのは素敵だなと」 

友人の影響でギターを購入し、その延長線で見よう見まねで曲づくりを始めたのが二十歳の時。アルバムタイトルにはそんな出自が込められている。

「もともと楽器ができたわけでもない自分が『どうやったらたくさんの人に曲を聴いてもらえるか』ということを考えて制作してきた曲たちが詰まっています。“凡才なりの戦い方”という思いも込めて『凡才』というタイトルを付けました。海外でも人気のある盆栽のように、国内外問わず聴いてほしいという意味もあります」 

短い尺の曲でも投稿可能なTikTokなどのSNSに楽曲を投稿し始めた数カ月後、「Have a nice day」や「逃避行」がバズを起こし、メジャーデビューが決定した。

「録音環境がそこまで整っていなくても気軽に音源が投稿できるのがSNSの強みです。その時々のトレンドを意識した楽曲を制作してすぐに投稿するというサイクルを半年くらい続けていました。当時はコロナ禍真っただ中でまだ外出しづらい状況ということもあり、チルな音楽が流行っていて、『Have a nice day』はそのムードに乗ってうまくバズりました。コロナ禍が収まっていくとアップテンポの明るい曲が流行り始めた傾向を受けて『NIGHT DANCER』をつくってみました。僕のようにファルセットで歌っているアーティストやドラムパッドの引き画を映した動画が珍しかったこともあり、当時は多くの人に注目してもらえたと思っています」

インタビュー後半は本誌でチェック！

インタビュー後半では、曲作りで大事にしている事、海外での活動意欲、そして今後の自分の成長につながるものについて聞いた。また、imaseにとっての“カッコいいと感じる人”は、"センスがある人"と述べるが……。Pen最新号『新時代の男たち』は、全国の書店、コンビニ、Amazonはじめオンライン書店などで発売中。