【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『サンリオ出版大全 教養・メルヘン・SF文庫』

やなせたかしが編集長を務めていたサンリオの雑誌『詩とメルヘン』は、筆者も高校時代に購入したことがある。思春期の男子に「メルヘン」は気恥ずかしかったものの、「一般読者が投稿した詩にプロのイラストレーターが絵を付ける」というコンセプトに新鮮さを感じた。サンリオの出版事業が1960~80年代に与えた影響を検証した本書では、そんな『詩とメルヘン』やサンリオSF文庫など、キャラクタービジネス以外の同社の創造性を再確認できる。なかでも、創業者の辻信太郎の思想を確認できる第8章は興味深い。
※この記事はPen 2024年6月号より再編集した記事です。