“猫の顔をした花”が愛らしすぎると大人気に…実はAIのフェイクということが判明 偽の種を買ってしまった人も

  • 文:山川真智子
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Nils Jacobi-Shutterstock ※画像はイメージです

ソーシャルメディアに、猫の顔に似た花を咲かせる植物の写真が投稿され、その愛らしさに多くの植物愛好家が魅了された。しかしその花は実在せず、AIによる偽画像だったことが判明。ネットで売り出された偽のタネを購入した人もおり、AIを悪用した詐欺事件と見られている。

目や鼻まである! 猫そっくりと人気に

問題の花は『キャッツ・アイ・ダズル(猫の目の輝き)』と呼ばれている。世界の不思議ニュースを扱うサイト、オディティ・セントラルによれば、4月中旬に、フェイスブックのあるユーザーが、140万人以上のメンバーを持つ『ナショナル・ジオグラフィック・ワイルド・プラネット(注:ナショナルジオグラフィックとは無関係)』というグループに、この花の複数の写真を投稿した。目や鼻を思わせる部分もあり、あまりに猫の顔に似ていたため、多くの人々が注目。獲得した「いいね!」は8万を超え、数万回シェアされる人気となった。

コメントの中には、「タネが欲しい」という声が多くあり、そういった人たちがネット検索でキャッツ・アイ・ダズルのタネを販売するサイトにたどり着いた。タネは1パック15ドル(約2300円)から30ドル(約4700円)で、大手のオンライン通販サイト経由でも販売されていた。

実在しなかった…検証サイトにより判明

人気が高まるなか、噂や作り話を検証するサイト、スヌープがキャッツ・アイ・ダズルを取り上げ、残念な判定を下している。猫の顔をした花をネット上で数バージョン確認したが、2024年以前に存在した証拠はなかったということだ。

フェイスブックだけでなく、他のソーシャルメディアでもキャッツ・アイ・ダズルの画像は拡散され、学名は『クリプタンサス・ビッタータス』だという解説まであった。しかし検索をかけると、猫の顔とは全く違う植物の画像が出てくる。

スヌープがAI検出ツールでキャッツ・アイ・ダズルの画像をスキャンしたところ、それらはAIによって生成されたもので、フォトショップも写真の加工に使われた可能性があると分かった。

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タネは偽物! AIの悪用による詐欺

キャッツ・アイ・ダズルは偽物であるだけでなく、詐欺の一部でもあるとスヌープは述べる。タネを販売するウェブサイトのドメイン登録情報は中国を指しているという。

オディティ・セントラルによれば、掲示板型ソーシャルニュースサイト、レディットのユーザーがオンラインでタネを購入してみたところ、猫の顔の花は咲かないことが分かったという。ちなみに同時に購入したパンジーとペチュニアのタネは本物だったということだ。

どれだけのユーザーが騙されて偽のタネを買ったかは不明だが、eBayでは、完了または売約済みとなったキャッツ・アイ・ダズルのタネの出品は、数百あったという。

キャッツ・アイ・ダズル以外にも、AIによる生成画像やフォトショップを使用して偽のタネを販売する不正な事業者が大量にいるといい、今回の事件は氷山の一角だという。

デイリー・メール紙は、ソーシャルメディアなどで詐欺の販促用投稿を見つけた場合は、速やかに運営元か警察に報告すべきとしている。

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話題となった“猫の顔をした花”の画像。

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複数のバージョンが投稿されている。

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 猫の顔の花の学名とされた『クリプタンサス・ビッタータス』。全く別の植物だった。

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@clairelouisecares #clairelouisecares ♬ Bird sounds - Finch - Polskie Ptaki

 

TikTokの動画。コメント欄では本物と思っている人も多数。