七里ヶ浜駅から歩いて10分ほどの場所にある「パシフィック ゴルフ クラブ」。

話題のカフェやレストランを数多く手がけるトランジットジェネラルオフィスが直営するゴルフ練習場、「パシフィック ゴルフ クラブ」が鎌倉の七里ヶ浜にオープンした。

同社が2015年に七里ヶ浜に開業したドライブインカフェ「パシフィック ドライブ イン」がゴルフ場をプロデュースしたら？　という架空のストーリーから、2022年5月にゴルフアパレルブランド「パシフィック ゴルフ クラブ」が誕生。このブランドから生まれたのが今回のゴルフ練習場になる。ゴルフ場と練習場の違いはあれど、架空だったはずのストーリーが、2年の時を経て現実になったのだ。

---fadeinPager---

トランジットジェネラルオフィス代表の中村貞裕さん。 

「パシフィック ゴルフ クラブ」について、ハワイのマノアのあたりにありそうなピースフルな空気に包まれたゴルフ場をイメージして手がけたと話すのは、トランジットジェネラルオフィス代表の中村貞裕さん。

「全体的にサーフ＆ターフな感じで、館内にはサーフ・ミュージックやシティポップが流れているちょっとゆるい雰囲気のゴルフ練習場を作りたかったんです。地元の人たちがカジュアルにTシャツ、短パンで来て、練習をして帰っていくような場所、おじいちゃんや家族連れなど幅広い人たちに愛される、老舗のゴルフ場を目指しています」

空の抜けもよく、都心では考えられない開放感がたまらない。

斯くしてできあがった「パシフィック ゴルフ クラブ」はカジュアルな雰囲気が魅力だが、練習設備は本格的だ。打席エリアは1階と2階に分かれ、トータルで130打席、広さは280ヤードを誇る。2階にはソファが置かれた仕切り付きのプライベートブースも用意されている。

---fadeinPager---

既存のゴルフ練習場とは一線を画すレセプション。内装はトリップスターが手がけている。

注目したいのは、ユーチューブ登録者数40万人越えのティーチングプロ・三觜喜一（みつはし・よしかず）さんが監修するレッスンスクールだ。「パシフィック ゴルフ クラブ」の前身となる「七里ヶ浜ゴルフ場」でゴルフを始めた三觜さんにとって、この場所への思い入れはひとしお。そんな三觜さんから最も効率の良いスイングメソッドを学べるというのだから、ファンならずとも夢のようだ。

また、自身が打った弾道や飛距離、ボールスピードなどのデータを正確に分析できる打球追跡システム「トップトレーサー・レンジ」を42打席に導入。上達の手応えが1打ごとに可視化されることはもちろん、世界的に著名なコースをバーチャルでラウンドできたり、同じシステムを使用している世界中のゴルファーとスコアを競い合うこともできる。ゲーム感覚で練習ができるから上達も早い。

---fadeinPager---

施設内には「パシフィック ゴルフ クラブ」の実店舗を併設。元ナノユニバースの姉川輝天さんがディレクションを担当する。 

トレンドを牽引するトランジットジェネラルオフィスが手がけるだけに、「パシフィック ゴルフ クラブ」はゴルフを練習するだけの場所ではない。ソーシャルライフな場所にしたいと中村さんが話すように、これまでネットショップのみだった「パシフィック ゴルフ クラブ」のアパレルを販売する実店舗や、コーヒースタンド、ピラティススタジオなどを併設。今後はワーケーションラウンジやサーフィンスクールの開設も予定されている。

「ピラティス スタジオ イレブン」。海の見える窓から差し込む自然光が心地よい。

中でも女優、モデル、プロアスリートなど著名人も体づくりのために通う「ピラティス スタジオ イレブン」は、パーソナルトレーニングをはじめ、ゴルフのパフォーマンス向上に特化したレッスンや、4名までの少人数制グループレッスンをこの施設限定で提供している。ゴルフの練習と併せて体験してみたい。

「海の見えるロケーションで行うピラティスは最高に気持ちがいいですし、体幹を強化することでゴルフの飛距離やスイングの再現性の向上、怪我予防をサポートすることができます。素敵なインストラクターのみなさんがいることで、館内の雰囲気が華いだことは嬉しい誤算です」（中村さん）

---fadeinPager---

左から／ブルーベリークリームチーズスコーン450円、コールドブリュー550円。

コーヒースタンド「パシフィック スタンド イン」では、コーヒータップからコールドブリューやバッチブリューをセルフで注ぐことができる。この気軽さがココらしさだ。また“パシフィック”シリーズではお馴染みの京都の人気ベイクショップ「ナカムラ ジェネラル ストア」のしっとりとしたスコーンも用意されている。

コーヒーを飲みながらゴルフの練習をするのもいいし、練習後にコーヒーとスコーンでひと休みしながら、自分のスイングを振り返るのもいいだろう。

「今後はバナナとスパム、ポテトチップなども並べて、ハワイのゴルフ場の雰囲気をさらに強調していきたいと思います」（中村さん）

オープン後も館内のピクトグラムなどが現在進行形で制作されている。

オープン時にいきなり100％ではなく、地元の人たちや仲間たちと一緒にDIYのような感じで、1年ほどかけて少しずつ理想の形にしていきたいと話す中村さん。

「例えば、スタッフのユニフォームは、鎌倉が拠点のプロサーファーでもある中村竜さんがクリエイティブディレクションを行うマジックナンバーが手がけていて、内装はパシフィック ドライブ インやそこから生まれたパシフィック ベーカリーと同様に野村訓市さんが率いるトリップスターにお願いしました。さらに今回は、山梨県にある弊社直営のオートキャンプ場“フォークウッド ヴィレッジ 八ヶ岳”の装飾が好評だったフタリワークスの三枝量さんに看板やピクトグラムなどを館内の一室で手作りしてもらい、できあがったものから設置していくことで、力の抜けたリラックスした雰囲気を演出しています」（中村さん）

---fadeinPager---

通称“パシフィック通り”。地元の人にもこの呼び名が定着しつつある。 

実は「パシフィック ゴルフ クラブ」は、海沿いの「パシフィック ドライブ イン」と丘をあがった先にある「パシフィック ベーカリー」を結ぶ道の途中にある。最近ではこの道のことを通称“パシフィック通り”とも呼ぶ動きも見られ、七里ヶ浜といえばパシフィックのお膝元のようなイメージも定着しつつある。

オープン後も日々進化を遂げている「パシフィック ゴルフ クラブ」。“パシフィック通り”の中心的存在として、今後の展開が楽しみだ。