デンマークの家具ブランド、フリッツ・ハンセンが、長年愛用されたチェアを回収し、再利用するサーキュラープログラムを6月1日からスタートする。
対象となるのは、耐用年数を迎えたり、さまざまな理由で使用しなくなった同ブランドのセブンチェア、アリンコチェア、グランプリチェア、リリーの4モデル。
回収の狙いは、廃棄処分を減らし、回収したチェアに新たな資源としての価値を与え、プロジェクトや企画などに再利用すること。それによって製品寿命を最大限に延ばすことができるプログラムとなっている。
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チェアの再利用方法の一例としては、2022年に瀬戸内海の本島(ほんじま)で実施した「フリッツ・ハンセン島」が記憶に新しい。この企画では、ビーチや道端、バス停などにフリッツ・ハンセンの椅子と本島の石や丸太を組み合わせたチェアを点在させ、島の人々が実際に腰掛けて休憩できる展示を行った。
さらにこの時に展示されたチェアは、展示期間が終わったあとも撤去されることなく、島の人々に利用され続けている。「フリッツ・ハンセン島」は、自治体とも連携し、あらたな地方創生の形を家具ブランドの立場からも行った新しい取り組みとなったのだ。
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今回のサーキュラープログラムは、期間限定ではなく通年の取り組みで、前述した対象チェアを返却すると、返却した製品と同モデル、もしくは現行価格が同モデル以上の家具の購入に利用できるバウチャーと返礼品のレザーのコースターを手に入れることができる。バウチャーとはクーポンのようなもので、フリッツ・ハンセン 東京で使用することが可能だ。また、コースターはサーキュラープログラムに共感した日本のレザー製品ブランド、hueの協力によって実現。フリッツ・ハンセンの家具の製造プロセスで余った端材から作られている。
たとえ使用する機会がなくなっても、愛着のあるチェアを廃棄するのは忍びないものだ。だからこそ、チェアの余生を生みの親であるフリッツ・ハンセンに託してみてはどうだろうか。「フリッツ・ハンセン島」で再利用されたチェアのように、多くの人に愛される存在として、第二の人生を歩んでいくのかもしれないのだから。