ワークシーンでの服装でまず大切なのは仕事に役立つ機能性。そのうえで高いファッション性も求めたいところ。魅力的な服を着た自身の姿に自信を持てれば、仕事のモチベーションにつながる。ここではそんな機能と美しさを兼ね備えた新時代のプロユース品を紹介。ファッションブランドのサイとオールドジョーが手掛けたメガネ店のユニフォーム、同じくフレッシュサービスがアレンジした電動ファンつきウェアの空調服®、シューズメーカーのムーンスターが立ち上げた調理や医療に従事する人向け新ラインだ。
いまや標準的な日常着であるミリタリーウェアやデニムも、大元はアクティブなプロユース服。ここに掲載した3例から、新しく定番化する日常着が生まれていくかもしれない。
グローブスペックスが初採用したオリジナルユニフォーム

東京の渋谷と代官山に路面店を構え、京都では新風館に入店しているメガネ店、グローブスペックス。世界最大規模のイタリアのメガネ展示会「MIDO」で2017年、18年の2年連続で世界一のメガネ店と認定された、名実ともに日本を代表する名店である。店舗デザインが重要な評価対象になるコンテストで受賞しただけあって、代表の岡田哲哉が海外を訪れて購入したビンテージ家具がぎっしりと並ぶ空間は独特な世界。その一方で最先端のデザイナーズメガネも多数置かれ、古さと新しさとのコントラストが楽しい。
このグローブスペックスが23年よりスタッフ着用のユニフォームを導入。創業から24年めにして初の試みとなる。制作を担当したのはビンテージ愛に満ちたファッションブランドのサイとオールドジョー。彼らとのコラボメガネブランドを岡田さんがデザインしてきた深い関係性のなかで実現したコラボレーションだ。

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メガネ店ならではの専門性のあるポケットがオリジナルユニフォームの大きな特徴。ジャケットとウエストバッグをサイが、エプロンをオールドジョーが手掛けた。組み合わせしだいで着る人の個性を出せて、季節の気候変化にも対応できる。服としてのクオリティがハイスペックなのも特徴だ。贅沢な生地を使い、見えない部分にも凝っている。お客さんから「この服ほしい!」との声が続出するのも納得の仕上がりだ。
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ジャケットとウエストバッグについて、サイのデザイナーである日高久代が以下のように解説してくれた。
「毎日の着用や作業に耐えられるタフさと品の良さを併せ持つ、丈夫なコットンベースの素材を採用しました。店との統一感を目指してアイウェアとファッションとがコーディネートしやすいように、ジャケットもウエストバッグも単体で使いやすく工夫しています。デザインのベースにした明確な服はありませんが、しいて言えば1940〜50年代辺りの英国のワークジャケットを意識しています。前振りのアームのつけ方やスリット入りのカフスなどにその特徴が見て取れます」
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自分たちがプロフェッショナル集団であることを示すためのユニフォーム。接客の現場にいる彼らからユニフォームを望む声が挙がったこともあり、岡田さんが取り組みを決めたそうだ。実現に至ったのはグローブスペックスとファッションシーンとのつながりがあったからこそ。実力派日本ブランドのデザイン力が真価を発揮した好例だ。
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フレッシュサービス流のおしゃれな空調服®


2000年代初頭に誕生した電動ファンつきの服は、暑い季節でも服を着る必要がある建設現場作業員を働きやすくした革新的なアイテム。競合製品も増えてきたなかで、このたびファッションブランドのフレッシュサービスがコラボした相手が、オリジネーターである空調服®。24年にコラボ第2弾となる「AIR COOLING VEST_Ver.2.0」が登場した。
ファッションシーン向けにリ・デザインされた。今回の素材は前回のソロテックスから、ストレッチ性があり動きやすいナイロンタフタに変更。上質な素材感で一般のワークウェアと差別化している。現代の感性によるオーバーサイズなシルエットも、フレッシュサービスならではの発想だ。
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フェスやアウトドアはもちろん、日常的にハードワークする時間にも最適な服だろう。料理するときエプロンを身につけるように、普段着にプラスするだけで涼しく過ごせる。仕事場に常備しておき、真夏に荷物運びするときスーツの上着を脱いで着用するのもよさそうだ。おしゃれデザインだからこそ、活用方法が自由に広がっていく。
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業務用に立ち返った、ムーンスターのヒットシリーズ「810s」

ソフトな履き心地で、ほっこりとしたルックス。サンダル気分でリラックスできるシューズ。2020年にムーンスターがこのシリーズ「810s(エイトテンス)」をリリースするなり、高感度な層が飛びついてスマッシュヒット。ファッションのセレクトショップを席巻する勢いで人気が広まっていった。
810sの大きな個性は、業務用をルーツに持つこと。ムーンスター(旧・月星化成)が長い歴史で培ってきた実用性が息づく、プロユースをタウンユースに落とし込んだデザインである。その810sから24年春にデビューした新ラインが「810s PRACTICAL」。仕事現場で実際に810sを履いてきた人たちの声を反映させ、再び業務用に立ち返った“おしゃれなプロユース品”である。

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想定されたシーンは、レストランの厨房、食品加工場、医療現場など。立ち仕事でも疲れにくい抗菌防臭インソール、油や水に強いアウトソール、汚れを落としやすい合成皮革のアッパーなどのプロが求める機能をふんだんに採用している。それでいて価格は1万円を切るリーズナブルさ。円安、材料費高騰、輸入コストの増大などの影響を受けあらゆるファッションアイテムが大幅に値上がりしたなかで、このプライスに抑えたムーンスターの心意気が頼もしい。
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ユニフォーム採用を前提に企画された810s PRACTICALは、原則としてB to Bの企業間で注文されるアイテム。ただし、ムーンスターの公式オンラインストアに限り一般層でも購入可能だ。高機能なシューズは毎日の仕事を快適にしてくれる。810s PRACTICALを選べば、プライベートでも履ける高いファッション性をも手にできる。
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【画像】プロユースmeets ファッション!メガネ店ユニフォームから空調服®、医療現場シューズまで【着る/知る Vol.175】
グローブスペックスが初採用したオリジナルユニフォーム

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フレッシュサービス流のおしゃれな空調服®


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業務用に立ち返った、ムーンスターのヒットシリーズ「810s」

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ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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