なにかの沼に堕ちた人は必読! 過剰な愛が暴走する推し活小説『コレクターズ・ハイ』

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)

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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『コレクターズ・ハイ』

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村雲菜月 著 講談社 ¥1,485

三川の部屋は「なにゅなにゅ」のキャラクターグッズで埋め尽くされている。縮毛矯正必須の三川にとって髪オタクの美容師の品田は頼れる存在だ。クレーンゲームを極めた森本は、なにゅなにゅのレアグッズを取る代わりに三川にあることを要求する。三者三様の過剰な愛が交ざり合い、暴走する。単なる「好き」を通り越して一線を越える瞬間。推し活の背景にある搾取の闇。沼った先に待ち受けるマウントの取り合い。なにかにのめり込んだことがある人間には、この小説が描く歪んだ愛は他人事ではないはず。

※この記事はPen 2024年5月号より再編集した記事です。