ノラ・ジョーンズが希望の音を奏でる、優しさとぬくもりあふれる新章

  • 文:山澤健治(エディター)

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【Penが選んだ、今月の音楽】
『ヴィジョンズ』

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ノラ・ジョーンズ ユニバーサル ミュージック UCCQ-1197  ¥2,860

こんなノラを待っていた。誰もがそう叫びたくなる4年ぶり、9枚目のスタジオ・アルバム。2021年にリリースされたノラ初のクリスマス盤を手掛けたマルチ奏者のリオン・マイケルズを再び迎え、ほどよく余白のあるアーシーでソウルフルな音像をほぼふたりだけで紡ぎ上げていく。テックスメックスやワルツを含む、ルーツ回帰志向の強いサウンドに従来の暗めの色調は薄く、ポジティブさがあふれる詞世界と共鳴するような優しさとぬくもりが全編を貫く。モダンなのにヴィンテージな印象の、ノラの新章アメリカーナ作。

※この記事はPen 2024年5月号より再編集した記事です。