全国初のAI車掌による自動運転バスが、北海道上士幌町で走行開始

  • 文:久保寺潤子

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交流施設「にっぽうの家」前を走行する自動運転バス「かみしほろアルマ」。カラフルなデザインが目を引く。

北海道上士幌町(かみしほろちょう)では、2022年12月から定期運行を開始した自動運転バス「かみしほろアルマ」に、AI車掌を導入するプロジェクトを24年4月1日から開始する。

SDGs未来都市で、バーチャルイケメン車掌が活躍

北海道十勝地方の北部に位置する上士幌町は人口約5000人の町だ。面積は東京23区よりも広い700平方kmで、約8割を森林が占める。日本で初めて熱気球の大会が開かれたことでも知られ、近年では全国トップレベルの酪農業を軸に、バイオガス発電やエネルギーの地産地消、自動運転バスやドローン配送の実装などICT技術を活用した持続可能な取り組みが評価され、第4回SDGsアワードで内閣官房長官賞を受賞。町にはテレワークやワーケーションを受け入れるための「かみしろシェアOFFICE」や「企業滞在型交流施設/にっぽうの家」を中心に、関係人口の創出にも取り組んでいる。

 

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AI車掌、萩音士清平。

上士幌町では、自動運転レベル4の社会実装に向け、自動運転バス「かみしほろアルマ」が定期運行を実施。さらにこの4月からはAI車掌「萩音士清平(しゅうおんじ きよひら)」が就任する。町に存在する地区名からその名を取った AI車掌は、親しみやすいキャラクターに加え、高い対話能力を持つAI音声対話アバター「AI Avatar AOI」を搭載。高齢者でも受け入れやすいサービスを目指す。

この自動運転バスはGPS機能と連携し、停留所やその周辺情報の自動音声案内を行う。次に停車する停留所の情報や町のイベント情報、有料広告の情報を発信するほか、AI車掌と自由に会話を楽しむこともできる。制御されたChat GPTのデータベースからAIが適切な返答を選択することで、正確性の高い回答を実現。また利用者に親近感を持ってもらうため、AI車掌によるワンフレーズの歌唱や町にちなんだ早口言葉、じゃんけんなどのコミュニケーション機能も用意されている。次々に先進的な取り組みを行ってきた上士幌町で、AI車掌がどんな新しいコミュニケーションを果たすのか、期待が高まる。

自動運転バス「かみしほろアルマ」
AI車掌「萩音士清平」

走行エリア:北海道上士幌町「道の駅循環線」、「西団地・北団地循環線」